トロイ・ドナヒュー

トロイ・ドナヒュー（Troy Donahue, 1936年1月27日 - 2001年9月2日）は、アメリカ合衆国ニューヨーク州出身の俳優であり、本名はマール・ジョンソン・ジュニア（Merle Johnson, Jr.）です。

若き日の輝き

ジェネラル・モーターズの映画部長の息子として生まれた彼は、コロンビア大学でジャーナリズムを学びましたが、後に演劇の世界へ転身しました。1957年に映画『翼にかける命』でデビュー後、1950年代後半から60年代前半にかけて、青春映画スターとして輝かしい活躍を見せました。

特に、サンドラ・ディーとの共演作『避暑地の出来事』（1959年）や、コニー・スティーブンスと共演した『二十歳の火遊び』では、その爽やかな魅力が最大限に発揮され、彼は一躍人気スターとなり、若者から絶大な支持を得ました。また、テレビドラマ『サーフサイド6』（1960 - 1962）のサンディ・ウィンフィールド役は、彼の代表的な役柄として広く知られています。

1963年には、『恋愛専科（Rome Adventure）』で共演した女優スザンヌ・プレシェットと結婚しましたが、わずか9ヶ月後に離婚しています。

キャリアの転換と苦悩

健全なアメリカの青春像を演じ、順調なキャリアを築いていたドナヒューでしたが、1965年を境に俳優としての道は徐々に衰退していきます。1970年前後からは、かつての爽やかなイメージとはかけ離れた、変質者や殺人鬼といった役柄を数多くの低予算映画で演じるようになりました。『ゴッドファーザー PART II』（1974年）では、コニー・コルレオーネ（タリア・シャイア）の3番目の夫役を演じています。

1980年代からは、低予算のアクション映画などへの出演が増えましたが、かつての輝きを知る人々にとっては、彼の姿は痛々しく感じられるものでした。1992年には、ポルノ色の強いエロティックな映画『不倫への招待状』にも出演しています。

スターの座から転落してからは、麻薬とアルコールに溺れ、一時的に廃人のような状態に陥りました。しかし、その後、彼は身を削るような努力と苦労を重ねて見事に更生を果たします。

社会貢献と晩年

アルコール・麻薬依存を克服した彼は、同じ悩みを抱える人々の良きアドバイザーとして活躍し、アルコール・麻薬撲滅運動に尽力しました。そして、2001年9月2日、心臓発作により65歳でこの世を去りました。

日本との関わり

北欧系の容姿で、金髪と碧眼、端正な顔立ちと筋肉質の長身を誇る彼は、日本でも人気を博しました。『パームスプリングスの週末』の主題歌『恋のパームスプリングス』のヒットや、『サーフサイド6』の出演を通じて、若い女性を中心にアイドル的な人気を集めました。1964年（昭和39年）4月には来日もしています。

1982年には、ニッカウヰスキー「スーパーニッカ」のCM（スーパーメモリーシリーズ、サーフサイド6編）に出演し、日本のファンを喜ばせました。また、1987年（昭和62年）公開の大林宣彦監督の日本映画『漂流教室』や、同監督のテレビドラマ『恋人よ、われに帰れ Lover Comeback to Me』（1983年）にも出演するなど、日本との縁は深いものでした。

トロイ・ドナヒューの生涯は、栄光と挫折、そして再生という、波乱に満ちたものでした。彼の人生は、多くの人々に勇気と希望を与え続けています。

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