トロフィーワイフ

「トロフィーワイフ」という言葉は、社会的、経済的に成功した男性が、自身の富や地位を誇示するための象徴として結婚した若い女性を指す際に用いられます。この呼称は、多くの場合に軽蔑的な響きを伴います。

この言葉が使われる背景には、その女性の価値が主に若さや外見的な美しさに置かれ、知性や内面的な要素、あるいは経済的な自立を伴わないと見なされるという考えがあります。そのため、外見維持以外の価値がないかのように捉えられたり、知識や経験に乏しいと見なされたりすることがあります。また、裕福で社会的地位の高い男性との関係を、女性側が主に金銭や地位を目的に構築していると見なされる場合があり、本来は金鉱掘りを指す「ゴールドディガー」という言葉が持つニュアンスと同様の意味合いで使われることもあります。

「トロフィーワイフ」と呼ばれる女性には、大きく分けていくつかのパターンが考えられます。一つは、世間的な知名度は低いものの、非常に若く魅力的な外見を持つケース。次に、既に社会的知名度を持っているケース。そして、若さと知名度の両方を兼ね備えているケースです。一方で、この言葉が用いられる場合、その夫は一般的に裕福で社会的に成功している人物であり、多くの場合、妻とされる女性と比較して容姿面では優れていないと見なされることが多い傾向にあります。

対義語に近い概念としては、「糟糠の妻（そうこうのつま）」があります。これは、男性がまだ貧しく成功する前の時期から苦労を共にし、支え続けた妻を指す言葉であり、「トロフィーワイフ」とは対照的な関係性を表します。男性版の概念として「トロフィーハズバンド」も存在しますが、これは「逆・玉の輿」といった意味合いで使われることがあり、一般的ではありません。

語源と歴史

「トロフィーワイフ」という言葉の語源については複数の説があります。一説には、1950年に発行されたイギリスの経済誌『エコノミスト』に掲載されたのが最初だとされ、古代の戦士が戦闘で最も美しい女性を戦利品として故郷へ連れ帰った歴史的な習慣に言及したものと言われています。しかし、ジャーナリストのウィリアム・サファイアは、『フォーチュン』誌の編集長ジュリー・コネリーが1989年8月28日号のカバーストーリーでこの言葉を造語し、急速に広まったと主張しています。作家のトム・ウルフもこの言葉を造語したと見なされることがありましたが、1996年の講演でこれを否定し、『フォーチュン』誌の比較的最近の記事が元であると述べました。オンライン語源辞典など、1984年には既に存在したと主張する資料もありますが、サファイアの記事へのアクセスが容易なため、多くの辞書（オックスフォード英語辞典を含む）は1989年8月28日を初出としています。ただし、1965年の出版物にも、バーナード・マドフの妻を指すと思われる引用が見られます。

また、「トロフィーワイフ」と同様の意味合いを持つラテン語の「tropaeum uxor」は、ギリシアやローマ起源の古い脚本にも登場し、その使用は1世紀前半まで遡るとされています。古代ローマの博物学者である大プリニウスの著作『博物誌』にもその用例が見つかりますが、おそらく現代の意味とは異なり、征服された敵からローマの将軍に贈られた貢ぎ物の一部としての「戦利品としての女性」を指していたと考えられています。

現代社会におけるこの現象の普遍性については、社会学者のエリザベス・マクリントックが、他の研究が示唆するほど一般的ではないという見解を示しています。

大衆文化と事例

「トロフィーワイフ」という概念は、大衆文化やメディアでもしばしば取り上げられます。コメディアンのスティーヴン・ライトは、「僕の友達の1人がトロフィーワイフを持っているんだ。でも明らかにそれは1位ではなかったな」というジョークを披露したことがあります。

アメリカのメディアで特に注目を集めた極端な例としては、元プレイメイトのアンナ・ニコル・スミスと石油富豪ジェームズ・ハワード・マーシャル二世の結婚が挙げられます。結婚当時、マーシャル氏は89歳、アンナ・ニコル・スミス氏は26歳という大きな年齢差があり、これは「トロフィーワイフ」という概念の典型的な事例として広く報じられました。

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