トロ・ロッソ STR12

トロ・ロッソ STR12：2017年シーズンの軌跡

2017年のF1世界選手権でスクーデリア・トロ・ロッソが使用したフォーミュラ1マシン、STR12。他のチームに先駆けて発表されたわけではなく、むしろ全10チームの中で最も遅い発表となりました。2月26日、バルセロナのカタロニア・サーキットで行われたプレシーズンテストの前日に、そのベールを脱ぎました。

最大の変更点は、パワーユニットの変更でしょう。前年のフェラーリから、レッドブル・レーシングと同じルノー製へと変更されました。これに伴い、マシンカラーリングもブルーとシルバーを基調とした、全く新しいデザインへと生まれ変わりました。レッドブルと同様、エンジンサプライヤーのバッジをマシンに表記する可能性もありましたが、エントリーリストには「トロ・ロッソ」のみが記載され、エンジン名表記はありませんでした。

STR12のデザインには、メルセデス・AMG F1 W08 EQ Power+との共通点が見られます。フロントサスペンション、サイドポット、そしてノーズの形状など、多くの類似点が見受けられました。テクニカルディレクターのジェームス・キーは、この類似性について「偶然の一致だ」と説明していますが、メルセデスのマシンデザインがSTR12の開発に影響を与えたことは否定できません。ドライバーのカルロス・サインツJr.も、このデザインの類似性に安心感を覚えていたと語っています。

2017年シーズンの戦績とドライバー交代劇

ドライバーラインアップは、ダニール・クビアトとカルロス・サインツJr.の2名体制でシーズンに臨みました。サインツJr.は安定した走りで度々ポイントを獲得し、シンガポールGPでは4位入賞という好成績も収めました。一方、クビアトは入賞2回と苦戦を強いられました。このパフォーマンスの差から、マレーシアGPと日本GPでは、スーパーフォーミュラに参戦していたピエール・ガスリーがクビアトに代わって起用されることになりました。ガスリーはカーナンバー10を背負ってレースに臨みました。

ガスリーは、スーパーフォーミュラ最終戦とアメリカGPのどちらに出場するか注目を集めました。最終的にはスーパーフォーミュラを選択し、アメリカGPにはブレンドン・ハートレイが出場することになりました。このアメリカGPでクビアトは入賞を果たしましたが、メキシコGP以降はハートレイとガスリーが起用されることとなり、クビアトはチームを離れることとなりました。結果として、クビアトのアメリカGPでの入賞が、トロ・ロッソにとってシーズン最後の入賞となりました。

シーズン終盤は、パワーユニットのトラブルに悩まされ、毎戦のようにグリッド降格を余儀なくされました。入賞圏外やリタイアが続き、最終的にコンストラクターズランキングではルノーに逆転され、7位でシーズンを終えました。

STR12のスペック

STR12の技術的な詳細を見ていきましょう。

シャシー:

構造：コンポジット・モノコック構造
ギアボックス：スクーデリア・トロ・ロッソ製アルミニウム合金 油圧式8速（レッドブル・テクノロジーより供給）
ホイール：アップテック マグネシウム合金
タイヤ：ピレリ
サスペンション（フロント）：カーボンファイバー製ダブルウィッシュボーン、プッシュロッド、トーションバースプリング、アンチロールバー
サスペンション（リア）：カーボンファイバー製ダブルウィッシュボーン、プルロッド、トーションバースプリング、アンチロールバー
ブレーキパッドおよびブレーキディスク：ブレンボ
ブレーキワイヤー：スクーデリア・トロ・ロッソ製

エンジン:

エンジン名：ルノー R.E.17
気筒数・角度：V型6気筒・90度
排気量：1,600cc
最高回転数：15,000rpm（レギュレーションで規定）
* バルブ数：24

STR12は、開発からシーズン中のドライバー交代劇、そしてマシンの性能まで、多くのドラマチックな出来事を経験したマシンでした。このマシンは、2017年シーズンのスクーデリア・トロ・ロッソの歴史に、重要な1ページを刻みました。

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