トローイア

トローイア

イタリア共和国の南部に位置するプッリャ州。そのフォッジャ県に属するコムーネの一つが、トローイア（Troia）です。アドリア海にも比較的近いこの地域に根差すトローイアは、2024年現在の人口が約7,462人という規模を持つ、静かで歴史深い町です。

歴史

トローイアの町の歴史は非常に古く、その起源は古代ローマ時代にまで遡ります。当初、この地は古代ローマの植民都市として築かれ、「アイカ」（Aika）という名で知られていました。その後、名前は「エチェ」（Ece）と改められます。この古代の町は、周辺に存在した他の重要な都市、すなわち現代のオルドーナ（Ordona）の原型となった「Herdoniae」や、アスコリ・サトリアーノ（Ascoli Satriano）のルーツである「Ausculum」、そして今日のフォッジャ（Foggia）の前身にあたる「Arpi」、さらにはサン・パオロ・ディ・チヴィターテ（San Paolo di Civitate）の源流となった「Teanum Apulum」といった都市群と共に、この地域における社会経済的な発展の中心地の一つとして繁栄しました。これらの都市は相互に連携しつつ、地域の経済や文化を牽引する存在でした。

現在のトローイアの町の骨格が形成されたのは、中世盛期の1010年のことです。この時、かつてカルタゴ戦争以前から存在していた古代の集落の廃墟の上に、新たな町が建設されました。これにより、古代から続く歴史の流れが、新たな都市の生命へと引き継がれたのです。

中世において、トローイアはその戦略的な重要性から、度重なる外部からの影響を受け、支配者も頻繁に変わりました。特に記憶される出来事としては、神聖ローマ皇帝ハインリヒ2世による包囲が挙げられます。町はこれに耐えましたが、その後、イタリア南部を席巻したノルマン人によって征服され、その支配下に置かれます。ノルマン人の統治は、この地域の政治地図を大きく塗り替えるものでした。

ノルマン朝の終焉後、プッリャを含む南イタリアは様々な王朝の支配を受けます。トローイアもその例外ではなく、特にフランス系のアンジュー家（イタリア語でアンジョイーニ）の統治下に入ると、町のインフラや都市機能の整備が進められました。アンジュー家は文化や建築にも関心が高く、その影響は町の景観にも現れました。

さらに時代が下り、南イタリアがブルボン家の支配下に入ると、トローイアはブルボン朝のもとで近代化の一歩を踏み出します。この時代、ブルボン家を支持する人々がこの地に集まり、町の一層の発展に貢献しました。しかし、19世紀にイタリア統一運動が進展し、ブルボン君主国がその力を失い没落すると、トローイアにおける彼らの影響力も終焉を迎えることとなります。ブルボン家の没落後、トローイアは統一イタリア王国の一部として、新たな時代を歩み始めました。

このように、トローイアは古代ローマの植民都市に始まり、周辺都市との連携による発展、中世の町の成立、そして度重なる異民族や王朝の支配を経て、多様な歴史的レイヤーが積み重なった町として、今日に至っています。その小さな規模とは裏腹に、南イタリアの波乱に富んだ歴史を物語る貴重な存在と言えるでしょう。

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