トワイライトゾーン・タワー・オブ・テラー

タワー・オブ・テラー：異次元への落下体験

「トワイライトゾーン・タワー・オブ・テラー」（The Twilight Zone Tower of Terror）は、世界各地のディズニーパークに存在する、ゲストを恐怖のどん底へ突き落とす屋内フリーフォール型アトラクションです。その最大の魅力は、アメリカの古典的名作テレビドラマ『トワイライトゾーン』（日本では『ミステリーゾーン』としても知られています）の世界観を見事に再現している点にあります。廃墟と化した古びたホテルを舞台に、そこで起こった謎の失踪事件の追体験として、いわくつきのエレベーターに乗り込むゲストを待ち受けるのは、予測不能な急降下と急上昇を繰り返すスリル満点の体験です。

アトラクションの基本コンセプトはどのパークでも共通しており、古ぼけたホテルのサービス用エレベーターが落下するというものですが、細部の構造や演出、そして物語はパークによって異なります。特に日本の東京ディズニーシーにある「タワー・オブ・テラー」は、このアトラクションの基本構造を踏襲しつつも、『トワイライトゾーン』とは全く異なる独自のバックストーリーと演出が採用されている点が特徴です。

この画期的なアトラクションの構想段階で、ディズニーのエンジニアたちがアメリカの大手エレベーターメーカーであるオーチス社に相談を持ちかけた際、安全性を最優先する同社からは当初「帰ってくれ」と難色を示されたという逸話も残されています。安全基準を満たしつつ、制御された落下を実現するための技術的な挑戦がいかに大きかったかを物語るエピソードと言えるでしょう。

タワー・オブ・テラーの特筆すべき技術的特徴として、落下のパターンや演出がソフトウェアによって制御・改変可能であることが挙げられます。これにより、アトラクション開業後も、例えば特定のイベント期間中に落下のシーケンスを変更するなど、ゲストに常に新鮮な体験を提供するための柔軟な運用が可能となっています。この機能は東京ディズニーシー版にも活かされており、「タワー・オブ・テラー：Level 13」といった期間限定の特別な演出が実施されています。

アトラクションの人気を受けて、1997年にはこれを基にしたテレビ映画も製作されました。邦題は『ホーンテッド・ホテル』として知られています。

恐怖の物語

アトラクションに足を踏み入れたゲストは、まず『トワイライトゾーン』の象徴的なオープニング演出に迎えられます。物語の舞台は1939年10月31日のハロウィーンの夜。雨が降りしきる中、ロサンゼルスで最も格式高いと評判の「ハリウッド・タワー・ホテル」には、その夜たまたま居合わせた五人の男女がいました。彼らは、華やかな映画スターのカップル、人気の若手女優とその乳母、そして長年ホテルに勤める中年のベルボーイです。それぞれが客室へ向かうためサービス用エレベーターに乗り込んだその瞬間、突如ホテルを激しい落雷が襲います。雷によってエレベーターのケーブルは切断され、中にいた五人はエレベーターごと深淵へと落下し、謎の失踪を遂げてしまいます。

この不可解な出来事によって、ホテルは閉鎖され、人々の記憶からも忘れ去られていきました。しかし、時が経った現在、このホテルには電気供給が止まっているにもかかわらずネオンが不気味に灯り、誰もいないはずのエレベーターが勝手に動き出すといった奇怪な現象が発生しています。さらに、そのエレベーターは存在しないはずの「13階」で停止するというのです。

ゲストはこの呪われたエレベーターに乗り込み、五人が消え去った異空間、すなわち『トワイライトゾーン』へと迷い込む体験をすることになるのです。

各施設の詳細

現在「トワイライトゾーン・タワー・オブ・テラー」が稼働しているのは、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート内のディズニー・ハリウッド・スタジオと、ディズニーランド・パリ内のウォルト・ディズニー・スタジオ・パークです。

ディズニー・ハリウッド・スタジオ版：1994年に最初にオープンしたオリジナル施設です。特徴的なのは、ライドが上昇・下降するだけでなく、途中で前進する構造を持っている点です。これは世界中のタワー・オブ・テラーの中でこのパークにしかない独自の機構です。六つの垂直シャフトにそれぞれライドが配置され、二つの映像パートを経由した後、ライドが水平移動してフリーフォールを行うシャフトに接続されます。また、このフロリダ版は、乗るたびに落下のパターンや回数がランダムに変化するため、何度訪れても新鮮な恐怖体験が味わえるように設計されています。開業当初は複数のゲストで共用する安全バーでしたが、現在は個別のシートベルトに変更されています。

ウォルト・ディズニー・スタジオ・パーク版：2007年末にオープンしました。構造的には、三つの垂直シャフトを持ち、一つのシャフト内で二台のライドが交互に稼働するという、かつて存在したディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー版や東京ディズニーシー版と同型です。テーマは他のパークと同様に『トワイライトゾーン』に基づいています。当初は2004年の開業を目指していましたが、経済的な理由やフランスの建築規制などにより建設が大幅に遅れました。建設期間が長引いたことで、パークの中央に位置するタワーの周辺が長期間にわたり通行止めとなり、ゲストの園内移動に不便を強いる状況が続きました。

かつては、ディズニーランド・リゾート内のディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーにも同名のアトラクションが存在しました。こちらは2004年にオープンし、構造はパリ版や東京版と同じタイプでした。当初は「ハリウッド・タワー・オブ・テラー」という名称でしたが、後にフロリダ版と同じ名称に変更されています。しかし、このカリフォルニア版は2017年1月にクローズし、同年5月にはマーベル・コミックス原作の映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』をテーマにした「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー - ミッション:ブレイクアウト!」へとリニューアルされました。

その他のトリビア

ホーンテッドマンションと同様、このアトラクションの待ち時間表示には遊び心が隠されています。通常15分と表示されるべきところは、西洋で忌み数とされる「13分」と表示されることがあります。
また、アトラクションのホテルの外観モデルは、実際にハリウッドに存在する歴史あるホテル、「ハリウッド・ルーズベルト・ホテル」が参考にされたと言われています。

トワイライトゾーン・タワー・オブ・テラーは、単なる落下系アトラクションにとどまらず、精緻なテーマ設定と恐怖を煽る演出、そして予測不能な仕掛けによって、ゲストを異次元の世界へと引きずり込む、忘れられないスリル体験を提供し続けています。

もう一度検索