トンネルぬけたらスカイ☆ブルー

作品概要

『トンネルぬけたらスカイ☆ブルー』は、人気漫画家しげの秀一氏が手がけた青春ラブストーリーです。講談社の漫画雑誌『週刊ヤングマガジン』にて連載されました。高校を舞台にした甘酸っぱい恋愛模様に加え、随所に車が登場する点が特徴で、氏の後の代表作となる『頭文字D』のルーツを感じさせる作品として知られています。

単行本は講談社より刊行されていますが、第1巻の収録話の最後に「夏・出会い編（完）」と記されており、物語が一旦区切りを迎え、その後のエピソードは現時点では発表されていません。未完の可能性も含む、幻の作品として語られることもあります。

ストーリー

物語の主人公は、新潟県湯沢町に住む高校3年生の石坂俊彦。長年打ち込んできた野球部を引退し、迎えた夏休み、俊彦は地元のリゾートホテルでアルバイトをしながら日々を過ごしていました。彼の夏休みを彩るもう一つの要素は、親友である武一の兄から借りた一台の車、AE86スプリンタートレノです。このハチロクを駆り、湯沢の道を走り回るのが俊彦の日常となります。

そんな彼の前に、二人の魅力的な女性が現れます。一人は、日頃から親しくしている同級生の関谷ちはる。彼女は俊彦に対し、率直に交際を申し込みます。そしてもう一人は、夏休みを利用して東京から湯沢を訪れていた、都会的な雰囲気を持つ美しい女子高生、高樹真亜理です。真亜理との偶然の出会いは、俊彦の心に新たな感情を芽生えさせます。

同級生からの誠実な告白と、突如現れた魅力的な都会の女性。俊彦の心は揺れ動き、ひと夏の間に複雑な三角関係へと発展していきます。青春の真っ只中で、恋と友情、そして車への情熱が交錯しながら、俊彦の夏が過ぎていきます。

登場人物

石坂 俊彦（いしざか としひこ）
本作の主人公。高校3年生。野球部引退後、親友の兄のAE86を借りて乗り回す。同級生のちはると東京から来た真亜理との間で揺れ動く。愛車はAE86スプリンタートレノ GT-APEX 3door（前期型）、ボディカラーはハイテックツートン（ホワイト/ブラック）。トムス製ホイールやFUJITSUBO製マフラーを装着している。

関谷 ちはる（せきや ちはる）
本作のヒロインの一人。俊彦の同級生であり、彼に好意を寄せている。

武一（たけいち）
俊彦の親友。彼の兄がAE86スプリンタートレノを所有しており、俊彦はそれを借りて運転している。

高樹 真亜理（たかぎ まあり）
本作のヒロインの一人。東京から来た女子大付属高校の3年生。本人は漢字表記の「真亜理」を堅苦しいと感じており、ひらがなで「まあり」と呼んでほしいと願っている。そのため、俊彦からは「まあり」と呼ばれている。都会的で魅力的な女性として描かれる。

羽沢 達也（はざわ たつや）
俊彦の恋のライバル。K大学医学部に通う大学生。高樹真亜理にアプローチする。搭乗車種はZ32フェアレディZで、俊彦のAE86と公道で遭遇するシーンがある。

石坂 夏見（いしざか なつみ）
俊彦の妹。

『頭文字D』との関連

本作は、しげの秀一氏の代表作であり、伝説的な公道レース漫画として知られる『頭文字D』の原型、あるいはプロトタイプとして位置づけられることがあります。主人公がAE86スプリンタートレノを駆る点、そしてそのAE86とライバルが操るZ32フェアレディZとの間で公道での走行シーンが描かれる点は、『頭文字D』における藤原拓海とAE86、そしてそのライバルたちの関係性を彷彿とさせます。物語の骨子に恋愛要素が強く絡む点は異なりますが、作品の根幹に流れる車への愛着や、特定の車種へのフォーカスといった要素は、『頭文字D』へと繋がる片鱗を十分に感じさせます。

作品が与えた影響

『トンネルぬけたらスカイ☆ブルー』は、単なるフィクションに留まらず、現実世界にも影響を与えています。例えば、日本海テレビのアナウンサーで社会人女子バドミントン選手としても活躍する中尾真亜理氏は、その名前が本作の高樹真亜理にちなんで父親によって名付けられたことを公表しています。さらに、中尾氏自身の愛車がトヨタ・86やダイハツ・タントであることも、本作や『頭文字D』、そして『MFゴースト』といった、しげの秀一氏の作品に登場するトヨタ・AE86やそのコンセプトを受け継ぐトヨタ・86の影響を受けていると述べています。このように、本作は限られた期間の連載ながら、読者の記憶に留まり、現実の人生にまで影響を及ぼす力を持った作品と言えるでしょう。

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