トンマーゾ1世・ディ・サヴォイア

トンマーゾ1世・ディ・サヴォイアは、1178年頃に生まれ、1233年3月1日にこの世を去ったサヴォイア伯です。彼の治世（1189年～1233年）は、サヴォイアの歴史において重要な転換期となりました。

生涯

トンマーゾは、サヴォイア伯ウンベルト3世とベアトリス・ド・ヴィエンヌの息子として生まれました。父の死後、幼少であったトンマーゾの代わりに母ベアトリスが摂政を務めました。トンマーゾは若くして領土拡大を目指し、北西への進出を開始しました。1189年にはヴァッレ・ダオスタに特許状を与え、行政および政治上の自治権を認めました。これはフランス革命まで続く重要な権利となりました。

トンマーゾはヴォー、ビュジェ、カリニャーノなどの地域を獲得し、支配領域を拡大しました。また、神聖ローマ皇帝家であるホーエンシュタウフェン家を支持し、ロンバルディアの帝国代理として「Tommaso il Ghibellino」（皇帝派のトンマーゾ）とも呼ばれました。彼は生涯を通じてサヴォイア伯領の支配と影響力拡大に努め、そのために数々の戦略を実行しました。

トンマーゾは、自身の子供たちを近隣諸国の重要な地位に就かせることで、影響力を拡大しました。特に、息子たちを聖職者とすることで、宗教的権威と世俗的権威の両方を掌握しようとしました。息子のグリエルモとボニファーチョは聖職者となり、トンマーゾ自身もローザンヌの律修司祭、後にヴァランスの行政官となりました。また、娘ベアトリーチェをプロヴァンス伯レーモン・ベランジェ4世と結婚させ、サヴォイアとプロヴァンスの関係を強化しました。これにより、サヴォイアはイタリアとフランスの間の交易路における支配力を確固たるものとしました。

軍事的な側面では、トンマーゾは領土拡張のために多くの戦いを繰り広げました。1215年にはミラノと同盟を結んでモンフェッラート軍と戦い、カザーレの町を破壊しました。1222年にはカヴールを占領しました。また、外交や経済的な手段も活用し、支配を拡大しました。サヴォイア伯領はアルプス山脈の重要な峠道を支配しており、トリノに対する支配を強化するために、アスティとの間でサヴォイアを経由するフランスとの交易路を変更する条約を結びました。

1226年には、皇帝フリードリヒ2世からロンバルディアの帝国代理に任命され、ジェノヴァの反乱やマルセイユの対立を調停しました。さらに、重要な交易路にある町に参政権と特許状を与え、商人たちの支持を得ることで、自身の支配をより強固なものとしました。

結婚と子女

トンマーゾは、1195年にマルグリット・ド・ジュネーヴを略奪結婚しました。彼女との間に多くの子女をもうけ、その子孫が後のサヴォイア家を形成しました。以下が主な子女です。

アメデーオ4世：サヴォイア伯を継承
トンマーゾ2世：ピエモンテ領主、サヴォイア＝アカイア家の祖
アイモーネ：シャブレー領主
グリエルモ：ヴァランス司教
アメデーオ：モーリエンヌ司教
ピエトロ2世：リッチモンド領主、後にサヴォイア伯
フィリッポ1世：リヨン大司教、後にサヴォイア伯
ボニファーチョ：カンタベリー大司教
ベアトリーチェ：プロヴァンス伯レーモン・ベランジェ4世と結婚
アリーチェ：リヨンのサン・ピエール女子修道院長
アガタ：アリーチェの死後、リヨンのサン・ピエール女子修道院長
マルゲリータ：キーブルク伯ハルトマン4世と結婚
* アヴィータ

トンマーゾ1世の治世は、サヴォイア家の発展に不可欠な時期であり、彼の戦略と政策が後のサヴォイア家の繁栄の基盤を築きました。

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