プロヴァンス伯

プロヴァンス伯の歴史と成り立ち

プロヴァンス伯（仏: comte de Provence）は、フランスのプロヴァンス地方を統治した貴族の称号であり、その歴史は非常に古く、今日まで多くの変遷を経てきました。この地域は、メロヴィング朝およびカロリング朝初期にフランク王国の一部として統治されていました。メロヴィング朝時代にはドゥクス（総督）が統治し、カロリング朝時代には公爵または辺境伯がその役割を担いました。

843年、フランク王国がヴェルダン条約によって分割された際、中フランク王ロタール1世の死後、彼の三人の息子たちに国土が相続されました。次男のシャルルはプロヴァンスを相続し、これを契機にプロヴァンス王国が成立しました。その後、プロヴァンス王位はシャルルの死後にイタリア王や西フランク王に引き継がれましたが、盲目の王ルイ3世の時代からは地元の貴族による統治が始まりました。

最初にルイ3世の妹の夫、アルル伯ユーグ・ダルルが盲目の王の摂政として政権を握りましたが、933年にユーグはプロヴァンスをブルグント王ルドルフ2世に譲渡し、この地域はブルグント王国に組み込まれました。さらに1032年には、ブルグント王国が神聖ローマ皇帝コンラート2世に継承され、プロヴァンスは神聖ローマ帝国の一部となりました。

プロヴァンス伯の成立と分裂

968年、アルル伯ボソ2世の子ルボー2世とギヨーム1世の兄弟が父の領地を分割せずに相続し、彼らは初めて「プロヴァンス伯」を名乗りました。この出来事は、プロヴァンス伯の成立を意味し、その後、彼らの子孫が伯爵位を世襲していきます。しかし、11世紀にはプロヴァンスを巡る対立が激化し、これにより歴史の中で重要な事件が起こりました。1165年には、ギヨーム1世の男系子孫と、兄のルボー2世の孫娘エマとが結婚し、トゥールーズ伯家との間で激しい権力争いが展開されました。

1125年には、プロヴァンス領をデュランス川で分割する合意がなされ、南側はバルセロナ伯家が、北側はトゥールーズ伯家が支配することになりました。兄ルボー2世の系統は、結婚によりトゥールーズ家に相続され、一方で弟のギヨーム1世の系統も、女系を通じてバルセロナ家やアンジュー＝シチリア家、さらにヴァロワ＝アンジュー家へとつながっていきました。

1229年にはモー条約が締結され、トゥールーズ伯領やナルボンヌ公領、プロヴァンス辺境伯領がフランス王家の手に渡ります。以降、プロヴァンス伯位はフランス王家の世襲爵位となり、特に1795年にルイ18世が王位に就くまで、彼はプロヴァンス伯の称号を保持していました。

主要なプロヴァンス領主の一覧

プロヴァンス公

• - ユーグ・ダルル（931年 - 933年）：アルル伯も兼任。

プロヴァンス辺境伯（ルボー2世系）

• - ルボー1世（968年 - 1008年）
• - ルボー2世（1008年 - 1014年）
• - ギヨーム3世（1014年 - 1037年）

プロヴァンス伯（ギヨーム1世系）

• - ギヨーム1世（968年 - 993年）
• - ギヨーム2世（994年 - 1018年）

このように、プロヴァンス伯の歴史は豊かな文化と権力闘争のエピソードに満ちており、地域の歴史において重要な役割を果たしてきました。

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