ト・キ・メ・キ

アルバム『ト・キ・メ・キ』について

矢野顕子によるアルバム『ト・キ・メ・キ』は、彼女のキャリアにおいて重要な作品として位置付けられています。このアルバムは彼女の3枚目のスタジオアルバムであり、1978年9月5日に日本フォノグラムからリリースされました。さらに、当アルバムは、1988年に徳間ジャパン及び2011年にはミディからCD化されています。

自身のプロデュースによる初の作品

『ト・キ・メ・キ』は矢野顕子が初めてセルフ・プロデュースしたアルバムです。この作品はニューヨークで録音され、ウィル・リーをはじめとする現地のミュージシャンたちが参加しました。特に注目すべき点は、松武秀樹がシンセサイザープログラマとして参加し、1970年代後半としては特にエレクトロニックな要素が色濃く反映されていることです。

矢野が制作に携わる過程で、同じ時期に坂本龍一のアルバム『千のナイフ』やイエロー・マジック・オーケストラの作品がリリースされており、松武が両者に関与していたことがわかります。この時期、矢野は独自に電子楽器の可能性を追求し、新たな音楽スタイルを模索していました。後の「ト・キ・メ・キ ツアー」ではYMOのメンバーも参加し、その後のコラボレーションが期待されるようになります。

収録曲一覧と特徴

このアルバムには以下の楽曲が収録されています：

• - こどもたち：矢野自身が作詞・作曲を手掛けた楽しげな曲です。
• - カタルン カララン：矢野顕子と共に作詞した菊池まみや矢野風太とのコラボレーションが光ります。
• - ウオーサオーやTWO ON THE STAGE、大きな石：各々が自らの色を示す作品であり、特に矢野独特の感性が感じられます。
• - アンダンテ・カンタービレ：ロシア民謡の影響を受けた美しい旋律が印象的です。
• - やめるわけにゃいかないわ：NHKの「新日本紀行」のテーマ曲に歌詞がつけられたもので、新たな解釈を加えています。
• - ヨ・ロ・コ・ビ：ベートーヴェンの交響曲のテーマを基にしており、クラシック音楽の要素を取り入れています。
• - ト・キ・メ・キ：アルバムのタイトルとなっている曲で、矢野の魅力が詰まった一曲です。

まとめ

『ト・キ・メ・キ』は、矢野顕子の音楽性が色濃く反映された作品であり、エレクトロニックな要素を取り入れた革新性を持つアルバムです。リリース当時の音楽シーンに新しい風を吹き込み、彼女の独自のスタイルを確立するための重要な一歩となりました。今後も彼女の作品は、聴く人々に新たな感動を提供し続けるでしょう。この作品を通じて音楽の進化を感じ、更なる彼女の活動に期待したいですね。

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