トーキング・ブック

スティーヴィー・ワンダーの『トーキング・ブック』

1972年に発表されたスティーヴィー・ワンダーの15作目のスタジオ・アルバム『トーキング・ブック』は、彼の音楽キャリアにおける重要な作品として位置づけられています。このアルバムは、ワンダー自身がプロデューサーを務め、マルコム・セシルとロバート・マーゴレフがアソシエイト・プロデューサーとして参加しました。多様な音楽スタイルが融合し、特にファンク、ソウル、R&Bの要素が際立っています。

アルバムには、全米1位に輝いた名曲「迷信（Superstition）」や「サンシャイン（You Are the Sunshine of My Life）」が収録されており、それぞれ独自の魅力を持っています。「迷信」は、当初はジェフ・ベックに提供するための楽曲として書かれましたが、ワンダーのシングルが先に大ヒットしました。それにより、後にスティーヴィー・レイ・ヴォーンもカバーし、ライブアルバムにも収められるなど、幅広いアーティストに影響を与えました。

アルバムの収録曲は、サイド1とサイド2に分かれています。サイド1には、心に響くメロディとリズムが印象的な「サンシャイン」、深い歌詞が特徴の「ユー・アンド・アイ」、そして切なさを感じさせる「チューズデイ・ハートブレイク」など、各曲が個性を引き立てています。

サイド2には、再び「迷信」が登場し、他にも「ビッグ・ブラザー」や「ブレイム・イット・オン・ザ・サン」など、聴く人の感情に訴えかける曲が目白押しです。特に「アイ・ビリーヴ」は、愛に対する深い信念と希望を歌った名曲です。

演奏に関しても、ワンダーはモーグ・シンセサイザーやハーモニカ、ドラマなど多彩な楽器を操り、彼の独特な音楽スタイルを確立しました。また、セッションには多くの著名なミュージシャンが参加しており、ジェフ・ベックのギターやデイヴィッド・サンボーンのサックスなど、豪華なメンバーが集結しています。

さらに、『トーキング・ブック』は、2020年に『ローリング・ストーン』が選ぶオールタイム・ベストアルバム500にもランクインし、59位に位置づけられるなど、音楽史における重要性が認められています。音楽の枠を超え、アートとしても評価されているこのアルバムは、聴く人々に感動を与え続けています。スティーヴィー・ワンダーの魅力が凝縮された『トーキング・ブック』は、ただの音楽作品を超えたものと言えるでしょう。

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