トーマスのテーマ

トーマスのテーマについて

『トーマスのテーマ』（原題: Thomas Theme）は、1984年に発表された楽曲で、イギリスの人気子ども向けテレビ番組『きかんしゃトーマス』の主題歌です。この曲は番組が放送された1984年から2003年にかけての第1シリーズから第7シリーズまで使用され、視聴者のすべてに愛されてきました。作曲家はマイク・オドネルとジュニア・キャンベルの二人です。

制作の背景

1982年、マイク・オドネルは音楽家として活動しながら、元ビートルズのメンバーであるリンゴ・スターが管理するレコーディングスタジオで働いていました。ある日、リンゴがマイクに『きかんしゃトーマス』のナレーターに就任することを話し、その番組にはまだ音楽担当が決まっていないことを知らせます。この話を聞いたマイクは興味を持ち、番組のプロデューサーであるブリット・オールクロフトに連絡を取りました。ブリットからは、音楽のアイデアを提出できる時間があると告げられ、マイクは長年の友人であるジュニア・キャンベルに声をかけ、デモ音源を作成しました。その結果、彼らの曲が採用され、『きかんしゃトーマス』の音楽担当となる運びになりました。

曲作りの意図

曲作りにあたり、マイクはリンゴがナレーションを行うことを知っており、やがてリンゴがこのテーマを歌ったり演奏したりする可能性を考慮して作曲しました。このため、曲の構成にはビートルズの楽曲「ミーン・ミスター・マスタード」をオマージュする要素が含まれているとされています。また、曲には以下の楽器が使用されています:

• - リンのドラムマシン「LM-1」
• - ローランドのアナログ・シンセサイザー「Jupiter 6」
• - ヤマハグランドピアノ
• - トライアングル

レコーディングはロンドンにあるリンゴのスタジオで行われ、ピアノもそのスタジオにあったものでした。

初公開と評価

1984年、番組の放送開始と同時に『トーマスのテーマ』も発表されました。子どもだけでなく、その親や祖父母と広い世代に親しまれ、高評価を得ました。シリーズごとに異なる編曲が施され、劇伴としても使用されることがありました。第3シリーズでは歌詞が追加されたバージョンもリリースされています。

しかし2003年に番組の権利がヒット・エンターテインメントに移行した際に楽曲の権利を巡って裁判が起こり、オリジナル音源の権利はヒット社に属するとの判決が下されました。また、このことが影響し、マイクとジュニアは音楽担当を降板し、テーマも使用されなくなりました。以降は第8シリーズからエド・ウェルチ作曲の『きかんしゃトーマスのテーマ2』が新たなメインテーマとして使用されることになります。

リリース状況

このテーマはイギリスで約30秒のTVサイズとしてリリースされましたが、フルサイズは公式にはリリースされていません。日本では、一度もリリースがなされていないことから、ファンからの期待が寄せられています。オリジナルのマスターテープはすべてヒット社が保有しているため、作曲者のマイクはバックアップを持つものの、自らリリースすることはできません。ただし、彼は2020年にセルフカバー音源を発表し、ファンの声に応えました。

現在の評価

『トーマスのテーマ』は多くの影響を及ぼしており、サンプリングやリミックスの素材としてしばしば取り上げられます。日本においても、独特の転調や複雑なメロディーが好評を受けています。映画やメディアの中でのアレンジも試みられ、今もなお人々の耳に残る名曲としての地位を保っています。

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