トーマス・ハンプソン

トーマス・ウォルター・ハンプソン

トーマス・ウォルター・ハンプソン（Thomas Walter Hampson, 1955年6月28日 - ）は、アメリカ合衆国出身の著名なオペラ歌手（バリトン）であり、リート歌手としても国際的に高い評価を受けています。

経歴

ハンプソンは、アメリカ合衆国インディアナ州エルクハートで生まれました。音楽家としての道を歩み始めた彼は、1978年と79年の夏にウェスト音楽アカデミーでマルシアル・サンゲールらに師事し、才能を開花させました。この時期にロッテ・レーマン賞を受賞し、その非凡な才能を早くから示しました。その後、南カリフォルニア大学に進学し、マルシャル・サンゲルとホルスト・ギュンターの指導の下でさらに研鑽を積みました。

1981年、ハンプソンはメトロポリタン歌劇場のオーディションで見事1位を獲得し、その才能を認められました。その後、彼はヨーロッパへと拠点を移し、デュッセルドルフのライン・ドイツ・オペラでデビューを果たしました。1985年からはチューリッヒ歌劇場で、モーツァルトのオペラを中心に歌い、次第に国際的な注目を集めるようになりました。1986年には、メトロポリタン歌劇場でモーツァルトの『フィガロの結婚』を歌い、アメリカでのデビューを飾りました。

同年、ハンプソンはレナード・バーンスタインのオーディションに招かれ、1987年にはバーンスタイン指揮、サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団の演奏で、プッチーニの『ラ・ボエーム』を歌いました。1988年にはザルツブルク音楽祭に出演し、その後もバーンスタイン指揮のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と共に、マーラーの歌曲『さすらう若人の歌』、『亡き子をしのぶ歌』などを録音するなど、世界的な活躍を続けています。

また、ハンプソンは教育者としても貢献しており、ニューイングランド音楽院、ウィットワース大学、サンフランシスコ音楽院で名誉教授を務めています。これまでに、バーンスタイン、アーノンクール、テンシュテット、ラトルなど、数々の世界的指揮者と共演しています。

評価

ハンプソンはこれまでに170を超える録音を行っており、その業績は高く評価されています。グラミー賞には6度ノミネートされ、1度受賞を果たしているほか、エディソン賞を5回、フランス・ディスク大賞、グラモフォン賞、エコー・クラシック賞、コンセルトヘボウ賞など、数々の賞を受賞しています。また、ウィーン国立歌劇場の宮廷歌手の称号、フランス芸術文化勲章コマンドール、2017年にはヴォルフ・メダルを授与されています。

オペラ歌手としては、80以上の役のレパートリーを持ち、モーツァルトやロッシーニの作品はもとより、チャイコフスキーなどの作品も得意としています。リート歌手としては、特にシューベルトやマーラーの歌曲の解釈が高く評価されています。

主なレパートリー

オペラ

グルック：『トーリードのイフィジェニー』のオレスト
モーツァルト：『ドン・ジョヴァンニ』のドン・ジョヴァンニ、『フィガロの結婚』のアルマヴィーヴァ伯爵
ロッシーニ：『ギヨーム・テル』のギヨーム・テル
ヴェルディ：『ドン・カルロ』のロドリーグ
トマ：『ハムレット』のハムレット
ショーソン：『アルテュス王』のアルテュス王
マスネ：『タイス』のアタナエル、『ウェルテル』のアルベール

など

歌曲

マーラー
シューベルト
シューマン
マイアベーア
フォスター
グリフス

など

外部リンク

公式サイト
* トーマス・ハンプソン - TOWER RECORDS ONLINE

もう一度検索