トーマス・B・カトロン

トーマス・ベントン・カトロン（Thomas Benton Catron, 1840年10月6日 – 1921年5月15日）は、アメリカ合衆国の政治家、法律家であり、ニューメキシコ州の成立に重要な役割を果たしました。後にアメリカ合衆国上院議員も務めました。

若年期と初期のキャリア

カトロンはミズーリ州レキシントン近郊で誕生しました。彼の名前にある「トーマス」は、当時州上院議員であったトーマス・ハート・ベントンに由来します。レキシントンの公立学校で教育を受けた後、1860年にミズーリ大学を卒業し、法律の学位を取得しました。

南北戦争中、カトロンはアメリカ連合国陸軍に4年間従軍しました。彼の故郷ミズーリの家が戦火で破壊されたため、終戦後は西部への移住を決意しました。1866年、他の連合国退役兵と共にニューメキシコ準州に到着し、ラスクルーセスに居を構えました。

ニューメキシコでの活動

カトロンは法律家としてのキャリアを再開し、1867年には法廷弁護士として認められました。当時、彼が住む地域には弁護士が少なかったため、彼はすぐに第三司法管轄地区の地方検事（1867年～1868年）に任命され、1869年にはニューメキシコ準州の検事総長に選出されました。その後、ユリシーズ・グラント大統領からアメリカ合衆国弁護士に任命されますが、この職を辞任しました。

政治の世界へ

1870年代に入ると、カトロンはニューメキシコ州の地方政治に深く関与し、その結果、共和党からの信頼を得るようになりました。1884年から1909年まで、彼はニューメキシコ準州の様々な委員会の委員を務めました。1892年には準州議会議員選挙に出馬しましたが、落選。1894年に一度当選を果たすも、1896年の再選挙で敗北しました。

ニューメキシコ州昇格への貢献

カトロンはニューメキシコ州の州昇格を強く支持していました。1897年から1910年まで、直接的な政治活動からは遠ざかっていましたが、地域の問題において共和党の中心的な存在であり続け、法律事務所を準州都サンタフェに移し、多くの議員と親交を深めました。そして1912年、ニューメキシコがアメリカ合衆国47番目の州として認められると、カトロンは初代の上院議員に選出されました。

失墜

ニューメキシコが州になってからの最初の10年間、カトロンは共和党の優位を維持する上で非常に大きな役割を果たしました。しかし、彼のキャリアとニューメキシコ共和党全体の没落を招くことになる大きな過ちを犯してしまいます。彼は、親友であり、同じく州上院議員であったアルバート・フォールと個人的な同盟を結びました。フォールは議会内でも特に腐敗した人物として知られており、1916年にはニューメキシコ共和党から完全に嫌われていました。党はフォールを擁護するカトロンの行動を非難し、カトロンは共和党から事実上追放されることになりました。不本意ながら、カトロンは政界から引退することとなります。

その後、カトロンは1921年にこの世を去りました。

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