トーマス・R・コーネリアス

トーマス・R・コーネリアス（Thomas R. Cornelius, 1827年11月16日 - 1899年6月24日）は、アメリカ合衆国オレゴン州の黎明期において、政治と軍事の両面で重要な役割を果たした人物です。ミズーリ州で誕生し、若くして家族と共にオレゴン・カントリーへ移住しました。この地で、コーネリアスはカイユース戦争やヤキマ・インディアン戦争に参加し、アメリカ先住民との厳しい戦いを経験しました。

オレゴン州ワシントン郡に入植したコーネリアスは、その居住地の近くに、彼の名にちなんで「コーネリアス」と名付けられた町を築きました。政治家としては、ホイッグ党、そして後に共和党の一員として、オレゴン準州議会の議員を務めました。オレゴンが州に昇格した後も、彼はオレゴン州元老院（上院）の議員として活躍し、一期は議長も務めました。また、彼は交通インフラ整備にも尽力し、コーネリアス・パス・ロードを建設しました。彼の息子であるベンジャミン・P・コーネリアスも、後にオレゴン州の政治において重要な役割を担いました。

前半生

1827年、トーマス・R・コーネリアスは、ミズーリ州でエリザベスとベンジャミン・コーネリアスの間に生まれました。1845年、家族と共にオレゴン・トレイルを辿りオレゴン・カントリーに移住し、テュアラティン平原に農場を設立しました。1847年後半のホイットマン虐殺事件後、1848年にはオレゴン暫定政府の市民軍に参加し、カイユース戦争で先住民と戦いました。

カリフォルニアでの金鉱発見に伴い一時的にカリフォルニアを訪れた後、1849年にオレゴン準州に帰還しました。1850年にはフローレンティーン・ウィルクスと結婚し、6人の子供をもうけました。そのうちの一人が、後にオレゴン州の政治家となるベンジャミン・P・コーネリアスです。一家はその後、供与地請求法によって取得した広大な土地に入植し、コーネリアス近郊に定住しました。1855年には、カスケード山脈東部でヤキマ族との間で戦いが勃発し、コーネリアスは再び市民軍に参加しました。部隊長として一隊を率いた後、大佐に選出され、1856年の終戦までその職を務めました。

政治家としての道

1856年、コーネリアスはオレゴン準州議会上院議員に選出されました。ホイッグ党員として、ワシントン郡、コロンビア郡、マルトノマ郡を包括する第8選挙区から選出されました。1858年には再選を果たし、準州時代最後の任期も議員として務めました。1859年2月14日にオレゴン州が州として成立すると、コーネリアスは新設されたオレゴン州元老院（上院）の議席を引き継ぎました。

オレゴン州元老院では、共和党員としてワシントン郡をはじめとする複数の郡の代表を1874年まで務めました。1862年の任期中は、アメリカ南北戦争の影響で議員活動を一時中断しました。南北戦争中、リンカーン大統領から騎兵隊を組織する権限を与えられ、大佐としてワシントン州ワラワラの駐屯地を撃破する作戦を指揮しました。1862年夏に辞任し、帰路につきました。

1866年の任期中には、オレゴン州元老院の議長に選出されました。同年、オレゴン州知事の共和党指名を得ましたが、総選挙ではシルベスター・ペノイヤーに敗れました。

晩年

1864年に妻に先立たれた後、1866年にミズーリ・A・スミスと再婚しました。1872年には現在のコーネリアスに移り住み、商店を構えました。彼は合計1,500エーカー（6.1平方キロメートル）の土地を所有し、3つの農場、倉庫、製材所を経営しました。テュアラティン渓谷とコロンビア川を結ぶコーネリアス・パス・ロードを建設したのも彼の功績です。1899年6月24日、71歳で亡くなり、コーネリアス・メソジスト教会墓地に埋葬されました。

コーネリアスは、オレゴン州の黎明期において、政治、軍事、そして経済の発展に大きく貢献した人物として、その名を歴史に刻んでいます。

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