ドアの向こう

角松敏生 10thシングル「ドアの向こう 〜SAYONARA T〜」：ノスタルジックなムード歌謡の世界

1986年11月5日、角松敏生10枚目のシングル「ドアの向こう 〜SAYONARA T〜」がリリースされました。このシングルは、A面とB面両方に新曲が収録された両A面シングルという構成になっています。

「ドアの向こう 〜SAYONARA T〜」：優しさに包まれた、せつない記憶

表題曲「ドアの向こう 〜SAYONARA T〜」は、角松敏生自身の言葉によれば、古いソウルのテイストを織り込んだムード歌謡を目指して制作された楽曲です。自身の当時の心境を歌い上げており、過ぎ去った時間と自身の経験への感慨が、せつなくて温かいメロディーに昇華されています。楽曲からは、角松敏生自身の内面世界と、時間の経過による感情の変化が繊細に感じられます。単なる懐古趣味にとどまらず、普遍的な心の機微を描き出している点が、この曲の魅力と言えるでしょう。

「WE CAN DANCE」：軽快なリズムと洗練されたサウンド

カップリング曲「WE CAN DANCE」は、「ドアの向こう 〜SAYONARA T〜」とは異なる、より軽快なリズムとサウンドが特徴です。こちらもシングルのみの収録となっており、両A面という構成が、このシングルの充実度を高めています。「ドアの向こう 〜SAYONARA T〜」のしっとりとした雰囲気とは対照的に、この曲はよりアップテンポで、リスナーを踊りに誘うような力強いグルーブを感じさせます。しかし、角松敏生らしい洗練されたサウンドアレンジは、この曲にもしっかりと息づいています。

参加ミュージシャン：豪華な顔ぶれが楽曲に深みを与える

両楽曲には、数多くの実力派ミュージシャンが参加し、楽曲の完成度を高めています。

「ドアの向こう 〜SAYONARA T〜」:

ボーカル、コーラス：角松敏生
ドラム：菊池たけお
ベース：青木智仁
ギター：生熊政博
アコースティックギターソロ：吉川忠英
アコースティックピアノ、フェンダーローズ：友成好宏
キーボード：林雄二
サックス＆ソロ：ジェイク・H・コンセプション
トランペット：数原晋、荒木俊夫
トロンボーン：西山健治
パーカッション：中島オバオ
ストリングス：友田グループ
コーラス：藤澤秀樹

「WE CAN DANCE」:

ボーカル、ギター＆ソロ、コーラス：角松敏生
ドラム：秋山広和
ベース：青木智仁
アコースティックピアノ、フェンダーローズ、キーボード：友成好宏
キーボード：則竹昭一、林雄二
トランペット：数原晋、荒木俊夫
トロンボーン：西山健治
サックス：ジェイク・H・コンセプション
コーラス：国分ユリエ、城戸康博、日山清志

これら豪華なミュージシャン陣の演奏によって、「ドアの向こう 〜SAYONARA T〜」と「WE CAN DANCE」は、それぞれの個性を持ちながらも、角松敏生サウンドの奥深さを余すことなく表現しています。

プロデュースと収録アルバム

担当ディレクターは岡村右氏が務めました。両曲とも、角松敏生のベストアルバム『1981-1987』に収録されています。このアルバムは、彼のキャリア初期の代表作を網羅しており、「ドアの向こう 〜SAYONARA T〜」と「WE CAN DANCE」の存在は、その充実した内容を象徴するものです。

まとめ：角松敏生サウンドの成熟期を象徴するシングル

「ドアの向こう 〜SAYONARA T〜」は、角松敏生自身の内面と、高度な音楽性を融合させた、成熟期を象徴するシングルです。両A面の楽曲は、それぞれ異なる魅力を持ちながら、彼の音楽的才能を余すことなく示しています。参加ミュージシャン、スタッフのクレジットからも、このシングルに対する並々ならぬ情熱と、高い音楽性へのこだわりが感じられます。角松敏生ファンはもちろんのこと、80年代のJ-POP、AORファンにも強くおすすめできる一枚です。

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