1981-1987

角松敏生の代表作『1981-1987』：13年間の軌跡と新たな出発

1993年10月21日、角松敏生初のベストアルバム『1981-1987』がリリースされました。これは単なるベスト盤ではなく、アーティストとしての角松敏生の転換期を象徴する、重要な作品と言えるでしょう。

「凍結」宣言とベストアルバム制作の背景

1993年1月に行われた日本武道館公演後、角松敏生は歌手活動を一時休止することを発表しました。これは「凍結」と称されるもので、音楽活動からの完全撤退ではなく、シンガーソングライターとしての活動に一時的に区切りをつけるというものでした。しかし、この「凍結」宣言後も、サウンドプロデュース業やその他の音楽活動は継続していました。

『1981-1987』は、この「凍結」直後に制作されたベストアルバムです。デビュー年である1981年から1987年までの楽曲を網羅しており、その制作にはオリジナルアルバム制作に匹敵するほどの時間と労力が費やされました。当初は音楽業界からの引退も検討されていたようですが、所属事務所の説得もあり、歌手活動以外の形で音楽業界に残る道を選択したのです。

過去作品のリメイクと「1993年型」サウンド

このアルバムの大きな特徴は、過去の楽曲の多くがニューバージョンで収録されていることです。デビュー当時、技術的な制約や立場的な制約から、理想とするサウンドを実現することができなかったという後悔を胸に、13年を経た角松敏生は、長年の経験と成長を活かし、過去の楽曲を「1993年型」サウンドにリメイクしました。このアルバムは、技術的な進化とアーティストとしての成長を明確に示す作品となっているのです。

収録曲は全20曲。そのうち15曲はニューバージョン、9曲は初CD化という充実の内容です。角松敏生自身のこだわりが随所に感じられ、デビュー当時からのファンはもちろん、初めて聴くリスナーにとっても新鮮な魅力が満載の作品となっています。

パッケージとアートワーク

パッケージもまた、このアルバムのこだわりを表しています。ブックレットにはディスコグラフィ、平山雄一氏によるライナーノーツ、角松敏生自身による解説と曲目解説が収録されています。ジャケットには角松敏生の肖像画が使用され、肖像権の関係で実写写真は過去の画像集のページ以外では使用されていません。

スタッフクレジット

このアルバムの制作には、多くのスタッフが関わっています。角松敏生自身はエグゼクティブプロデューサー、プロデューサーを務め、アレンジや作曲も担当。レコーディングエンジニア、ミキシングエンジニア、マスタリングエンジニアなど、数多くのスタッフが関わったことで、高品質なサウンドが実現しています。

まとめ

『1981-1987』は、単なるベストアルバムという枠を超えた、角松敏生のアーティストとしての集大成、そして新たな出発を告げる作品です。技術的な進化、音楽的な成熟、そして自身の音楽への強いこだわりが、このアルバム全体に息づいています。音楽史に残る名盤として、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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