ドイツ人民警察

ドイツ人民警察（Deutsche Volkspolizei, DVP）

ドイツ人民警察（DVP）は、ドイツ民主共和国（東ドイツ）の警察機関であり、法執行機関としての役割を担っていました。しかし、その組織構造から準軍事組織と見なされることもありました。ここでは、その歴史、組織、活動、そして東西ドイツ統一後の変化について解説します。

歴史

人民警察は、第二次世界大戦後、ソ連占領地域で設立された警察組織に起源を持ちます。1945年10月31日、ソ連軍政府は共同体警察の武装を承認しました。秩序警察及び刑事警察を引き継ぎ設立、ドイツ再統一後に廃止されました。

活動

人民警察は、公共秩序と利益の維持だけでなく、党と体制の維持も目的としていました。西側の法執行機関とは異なり、軍事訓練を受けた装甲兵員輸送車部隊や砲兵部隊を備えていました。1961年には、国家人民軍と共にベルリンの壁を構築し、指導部は「壁こそが西ドイツ及びNATO社会に巣食う負の要素から国家を防衛するもの」と宣言しました。

シュタージによる徹底的な相互監視網により、東ドイツの犯罪率は西ドイツに比べて非常に低いものでしたが、1989年のベルリンの壁崩壊とシュタージの衰退と共に犯罪率は上昇しました。これは、一党独裁体制が崩壊する際によく見られる特徴です。

組織

人民警察は国家警察であり、組織としては内務省直轄でした。内務省の管理下に置かれ、司令官はドイツ人民警察長官でした。警察官は国家と個人の契約を結び、月給は平均所得を上回っていました。

主要部門は以下の通りです。

刑事警察部
一般警察部
鉄道警察部
交通警察部
登録管理部

内務省には、人民警察機動隊を主力とする兵舎部隊が編成されていました。

訓練と採用

人民警察への採用には、最低10年の教育及び職業訓練、兵役、政治的忠誠が求められました。入隊すると、人民警察学校で5ヶ月間の訓練を受け、その後6ヶ月間の実地訓練が行われました。警察官には、「人民、理想主義、家族の伝統、社会の信念と共に労働し、国家に奉仕することを望む」ことが求められました。

1962年以降、人民警察は東ベルリンに独自の学校を構え、数多くの警察官を輩出しました。他にもいくつかの学校が存在し、兵舎部隊は独自の研修施設を保有していました。

制服

人民警察の制服は、兵営人民警察を除き、同様のデザインでした。任務や気候に応じて異なる素材のものが用意され、灰緑色が基本色でした。交通警察の職員は濃紺の制服を着用していました。制服は、活動服、勤務服、半礼装、パレード服に大きく分類され、それぞれ異なる場面で使用されました。

東西ドイツ統一後

1990年10月3日の東西ドイツ統一により、人民警察は解体され、警察機構は統一ドイツの連邦政府と各州政府に移管されました。人民警察の警察官のうち、約40%が統一後の警察に残留しました。

参考文献

Official Site of the German Police
EAST GERMANY - A Country Study (based on information from the Library of Congress)
The Democratisation of the Police (With Reference to the Brandenburg Police) by John Chivers

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