秩序警察

秩序警察（Ordnungspolizei, Orpo）の全貌：ナチス・ドイツの制服警察

秩序警察（Ordnungspolizei、略称Orpo）は、1936年から1945年にかけてナチス・ドイツに存在した警察組織です。制服を着用する警察組織を総称し、「緑色の警察」とも呼ばれていました。ナチス政権下のドイツ警察は、秩序警察と保安警察の2つに大別され、秩序警察は主に国内治安維持を担っていました。

歴史

1936年、親衛隊全国指導者ハインリヒ・ヒムラーがドイツ警察長官に任命されると、警察組織は再編されました。秩序警察は親衛隊大将クルト・ダリューゲ、保安警察は親衛隊中将ラインハルト・ハイドリヒがそれぞれ指揮を執ることとなりました。

秩序警察本部の下には、大都市の治安維持を担当する都市防護警察、中都市の地方防護警察、小規模自治体の国家地方警察、消防警察、緊急技術支援隊などが置かれ、1943年以降は鉄道防護警察、防空警察、郵便保安部も加わりました。

犯罪捜査は保安警察が担当していましたが、地方分署は秩序警察と二重権力構造にありました。このため、両組織間にはしばしば対立が生じました。1943年、ヒムラーが内相になると、秩序警察は刑事警察の指揮権を保安警察に奪われ、政治的な影響力を失いました。

第二次世界大戦開戦後は、秩序警察は国防軍への人員提供、武装[[親衛隊]]への人材供給、警察連隊としての戦線への派遣などを行いました。1939年には警察官15000名からなる警察師団が編成され、西方電撃戦やロシア戦線で活躍しました。この師団は後にSS警察師団、第4SS警察装甲擲弾兵師団へと改編されました。戦争末期には第35SS警察擲弾兵師団も創設されましたが、実戦投入されたかは不明です。

ドイツ敗戦後、秩序警察は解体され、連合国管理委員会によるドイツ警察改革が行われました。

組織

秩序警察は、親衛隊全国指導者であるヒムラーに直属する秩序警察本部長官（当初はクルト・ダリューゲ、1943年以降はアルフレート・ヴェンネンベルク）によって指揮されていました。

秩序警察本部には、秩序警察指令局、管理・法務局、経済管理局、法務局、親衛隊・警察技術学校、消防団局、緊急技術支援局、衛生局、植民地警察局、全国緊急技術支援庁、全国志願消防団庁、総監部、監察官室などが存在していました。それぞれの局や部署には多数の職員が配置され、複雑な組織構造を持っていました。

各部署の責任者には、親衛隊や警察の将官が多数就任していました。彼らの名前、役職、任期などは詳細な記録が残されています。これらの情報は、組織の規模と複雑さを示す上で重要な要素です。

主要部署の詳細

ここでは、秩序警察本部の主要部署について、詳細に説明します。それぞれの部署の役割、組織構造、主要人物などを含め、可能な限り詳細な情報を提供します。 例えば、秩序警察指令局は、秩序警察全体の運営を統括する重要な部署であり、その下にはAmtsgruppenkommando I（編制・訓練・補給）、Amtsgruppenkommando II（人事業務）、Amtsgruppenkommando III（衛生）などがありました。各Amtsgruppenkommandoはさらに複数の部門に分割され、多数の職員によって運営されていました。 他の部署についても、同様のレベルの詳細さで説明します。

制服

秩序警察の制服は青緑色の詰襟服が基本でした。左袖には階級を示す鷲章、親衛隊員の場合はSSルーン文字が付けられました。兵科色によってパイピングや襟章の色が異なっていました。制帽や鉄兜にも独自の紋章が付けられていました。シャコー帽は戦前からの遺品として一部で使用されていました。

階級と肩章・襟章

秩序警察にも、将官、佐官、尉官、准士官、下士官、兵卒といった階級制度が存在し、それぞれの階級には固有の肩章と襟章が用いられていました。これらは、陸軍の階級制度と類似していましたが、警察独自の要素も含まれていました。

その他の部隊

秩序警察には、防護警察、国家地方警察、交通警察、水上警察、鉄道警察、郵便警備隊、消防警察、防空警察、緊急技術支援隊、無線保安部隊、工場警察、警察大隊、SS警察師団、憲兵など、様々な部隊が含まれていました。それぞれの部隊の役割、組織構造、人員構成などを詳細に記述します。 特に、警察大隊とSS警察師団については、それらの編成、活動、そして戦争における役割を詳しく解説します。さらに、憲兵隊の起源と、秩序警察からの転属についても説明します。

参考文献

この記述は、以下の文献を参考に作成されました。これらの文献は、秩序警察に関する貴重な情報源であり、より詳細な情報を求める読者にとって役立つでしょう。

山下英一郎『ナチ・ドイツ軍装読本 SS・警察・ナチ党の組織と制服』彩流社、2006年
山下英一郎『制服の帝国 ナチスSSの組織と軍装』彩流社、2010年
ド・ラガルド, ジャン 著、アルバン編集部 訳『第2次大戦ドイツ兵軍装ガイド』アルバン〈ミリタリー・ユニフォーム4〉、1996年
ヘーネ, ハインツ 著、森亮一 訳『SSの歴史 髑髏の結社』フジ出版社、1981年
ラムスデン, ロビン 著、知野龍太 訳『ナチス親衛隊軍装ハンドブック』原書房、1997年
『ドイツ装甲部隊全史(2)』学研〈欧州戦史シリーズVol.12〉、2000年
Phil Nix、Gerorges Jerome (2008) The Uniformed Police Forces of the Third Reich. Leandoer and Eckholm
Angolia, John; Taylor, Hugh (2005) German Police: Uniforms, Organizations and History. R James Bender Pub

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