ドイツ党

ドイツ党：地方から連邦へ、そして衰退

ドイツ党（Deutsche Partei）は、ニーダーザクセン州を基盤とするドイツの政党です。一時は連邦議会にも議席を持ち、政権与党の一角を占めたこともありましたが、その歴史は複雑です。

成立と初期の活動

1945年、ドイツ帝国時代に存在した地域政党、ドイツ＝ハノーファー党の再興を目指し、ニーダーザクセン民族党（NLP）として発足しました。1946年にはハインリヒ・ヘルヴェーゲが議長に就任。連邦制ドイツにおけるニーダーザクセン州の設立を目標とし、プロテスタント保守主義を代表する政党として活動しました。

1947年、ニーダーザクセン州が成立した翌年にドイツ党と改名。ドイツ国家人民党に所属していた保守派と合併し、保守政党として再編されました。同年のニーダーザクセン州議会選挙では27議席を獲得し、勢力を拡大。1948年には、憲法制定会議に代表を送り込みました。ドイツ党は、ニーダーザクセン州経済評議会において市場経済を支持し、1949年から1956年にかけての「ブルジョア連合」の基礎を築きました。

連邦議会への進出と連立政権

1949年の連邦議会選挙では、4％の得票率で18議席を獲得し、コンラート・アデナウアー政権において、キリスト教民主同盟（CDU）、キリスト教社会同盟（CSU）、自由民主党（FDP）と連立を組むことになりました。1953年の選挙では議席を減らしたものの、連立政権を維持。1957年の選挙でも議席を確保しました。連立政権下では、ハインリッヒ・ヘルヴェーゲ、ハンス・ヨアヒム・フォン・メルカッツ、ハンス・クリストフ・ゼーボームといった閣僚を輩出しました。

右派的傾向と党の分裂

一方で、ドイツ党は右派的な色彩も帯びていました。幹部による問題発言や、計画経済・土地改革への反対姿勢などから、「ニーダーザクセンの中産階級の政党」と特徴づけられ、州権、君主主義、民族主義的な立場を強調しました。

しかし、1960年に党は分裂。所属議員の一部がキリスト教民主同盟に移籍したことで勢力を失い、1961年には連邦議会から議席を失いました。その後は右傾化が進み、党員の一部はドイツ共和党や国家民主党といった極右政党に流れることとなりました。

現在への影響

ドイツ党は、その短い歴史の中で、地方政党から連邦政党へと発展し、連立政権の一翼を担うなど、ドイツ政治に一定の影響を与えました。しかし、党内の路線対立や右傾化により衰退し、最終的には極右勢力に吸収される形で消滅しました。その歴史は、ドイツの戦後政治における保守勢力の変遷を物語るものとして、記憶されています。

関連項目

ドイツ＝ハノーファー党
ドイツ国家人民党
ドイツ共和党
ドイツ国家民主党
* ハッソ・フォン・マントイフェル

もう一度検索