ドイツ労働者党

ドイツ労働者党（DAP）とは：ナチ党の源流

ドイツ労働者党（Deutsche Arbeiterpartei, DAP）は、1919年に設立されたドイツの政党であり、後にナチ党（国民社会主義ドイツ労働者党, NSDAP）へと発展する母体となりました。第一次世界大戦後の混乱期に誕生し、ミュンヘンを中心に活動を展開、アドルフ・ヒトラーの入党を機に勢力を拡大しました。

設立の背景

DAPは、1919年1月5日にミュンヘンのホテルで、トゥーレ協会のメンバーであるディートリヒ・エッカート、カール・ハラー、そしてアントン・ドレクスラー、ゴットフリート・フェーダーらによって設立されました。ドレクスラーが率いていた「良き和平のための自由労働者委員会」が発展したもので、初期のメンバーは主にドレクスラーの同僚など、約40名でした。

全ドイツ団の指導者パウル・タフェルらの影響を受け、大衆とナショナリストに訴える政党を目指しました。

ヒトラーの入党と党の変革

1919年9月、アドルフ・ヒトラーがDAPに入党。彼は当初、軍の情報将校として党を監視する役割を担っていましたが、ドレクスラーの反ユダヤ主義的な主張に共鳴し、入党を決意します。ヒトラーはすぐにその弁舌の才能を発揮し、党内で頭角を現しました。

ヒトラーの入党後、党は大きな転換期を迎えます。彼の主導により、1920年2月24日に党名を「国民社会主義ドイツ労働者党（NSDAP）」へと改称。これは、当時のオーストリアに存在したドイツ国民社会主義労働者党（DNSAP）を参考にしたものでした。

ナチ党への発展とその後

NSDAPへの改称後、党はヒトラーの指導の下、急速に勢力を拡大。しかし、1923年のミュンヘン一揆の失敗により、一時活動を禁止されます。その後、党員たちは様々な偽装政党や組織に分かれて活動を継続しましたが、ヒトラーの出獄後、再び彼の指揮の下に結集し、ナチ党として再出発を果たしました。

ミュンヘン一揆後に創設されたドイツ労働者党という類似名称の政党も存在しましたが、これはナチ党の活動禁止期間中の代替組織の一つであり、最終的にはヒトラーの指揮下に戻り、ナチ党へと合流しました。

主要な党員

アントン・ドレクスラー：共同設立者
カール・ハラー：共同設立者
ゴットフリート・フェーダー
ディートリヒ・エッカート
アドルフ・ヒトラー
アルフレート・ローゼンベルク
ヘルマン・エッサー
エルンスト・レーム
* ルドルフ・ユング

DAPは、ナチ党の源流として、その後のドイツの歴史に大きな影響を与えました。ヒトラーという一人の人物との出会いが、いかに歴史を大きく変えるかを物語る事例と言えるでしょう。

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