トゥーレ協会

トゥーレ協会について

トゥーレ協会（トゥーレきょうかい、Thule-Gesellschaft）は、1918年にドイツのミュンヘンで創設された秘密結社です。この団体の名称は、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの作品に登場する伝説の土地「トゥーレ」に由来しており、目的は超国家主義や反ユダヤ主義を掲げていました。トゥーレ協会は、第一次世界大戦後のバイエルン州で勢力を強め、当時のレーテ共和国を打倒するうえで重要な役割を果たしました。また、国家社会主義ドイツ労働者党、通称ナチ党の母体の一つにもなったとされています。

歴史

トゥーレ協会は、1918年1月に右翼政治結社であるゲルマン騎士団の依頼を受けて、ルドルフ・フォン・ゼボッテンドルフによって設立されました。この団体の正式な名称は「トゥーレ協会・ドイツ性のための騎士団」と呼ばれ、シンボルには鉤十字（ハーケンクロイツ）と剣が使用されました。表向きの目的はゲルマン古代の研究でしたが、実際には民族主義と神秘主義を関連付け、反ヴァイマル共和国のプロパガンダや反ユダヤ思想を広める活動が行われていました。

設立当初、ミュンヘンには約250人の会員がいましたが、他の民族主義団体との関係が深く、その精神的影響力は非常に大きいものでした。協会は、民族主義団体の連合体である「全ドイツ同盟」とも密接なつながりを持ち、彼らの活動を強化しました。1918年7月には、フランツ・エーア社から大衆新聞『ミュンヒナー・ベオバハター』を購入し、ゼボッテンドルフが主筆に就任しました。これによって、協会の影響力を広げ、新聞は後に『フェルキッシャー・ベオバハター』と改名され、全国的に発行されるようになりました。

また、協会員の一人であるヴァルター・シュピールは、その所有していたホテルを活動の拠点として提供し、ここは協会の重要な場となりました。1918年11月、レーテ共和国の宣言に対し、ゼボッテンドルフが中心となって共和制打倒を目指す「闘争同盟」を結成しました。この闘争中にいくつかの会員が共産主義者によって暗殺されましたが、「フィーア・ヤーレスツァイテン」には武器が集められ、著名な暗殺事件にも利用されました。

レーテ共和国が崩壊した後、トゥーレ協会は引き続き反ヴァイマル共和国の思想を広め、多数の民族主義団体の設立を後押ししました。その中には、ナチ党の前身であるドイツ労働者党とドイツ社会党を設立したメンバーも含まれます。結果として、ナチ党の中枢を担う重要な人物たちがこの協会に所属していました。ただし、ナチ党が成長するに連れて、トゥーレ協会の影響力は徐々に低下しました。1937年、フリーメイソンなどの類似団体の活動が禁止されると、トゥーレ協会とゲルマン騎士団は解散される運命にありましたが、一方で彼らの活動はナチス親衛隊などに取り込まれる形で国家の秘密活動へと潜行したとも言われています。

トゥーレ協会のフィクションでの登場

トゥーレ協会はフィクションの中でもしばしば登場します。代表的な作品には、ゲーム『11eyes -罪と罰と贖いの少女-』や『3days 〜満ちてゆく刻の彼方で〜』、さらには映画『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』などがあり、様々な形でその存在が描かれています。

関連項目

• - スカル・アンド・ボーンズ
• - ゲルマン騎士団
• - トゥーレ
• - ブリル協会
• - 反ユダヤ主義#ドイツ

トゥーレ協会は、歴史上の重要な動きに関与し、今日のナチ党の形成に影響を与えた点で記憶されています。その活動は、ドイツにおける民族主義の暗い側面と結びついており、その影響は長きにわたって続くこととなりました。

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