ドイツ民主共和国大統領

ドイツ民主共和国大統領

ドイツ民主共和国（DDR）では、1949年10月11日から1960年10月11日まで「共和国大統領」という国家元首の役職が存在しました。この役職は、建国当初から1960年まで続き、唯一の就任者は社会主義統一党（SED）のヴィルヘルム・ピークでした。ピークは在任期間中、国家元首として様々な権限を行使し、DDRの政治の中心に居続けました。

1960年9月7日にピークが亡くなると、共和国の政治体制は大きく変わることになります。彼の死を受けて、SEDの書記長であったヴァルター・ウルブリヒトは憲法を改正し、大統領制を廃止しました。これにより「国家評議会の形成に関する法律」が施行され、大統領の役割は国家評議会の議長に引き継がれることとなります。以後、「ドイツ民主共和国大統領」という名称は復活することはありませんでした。

大統領の選出は憲法第101条に基づき、人民議会と共和国参議院の合同会議によって行われます。選出されるためには、35歳以上であり、投票権を持つ者であれば誰でも候補になれる権利がありました。また、在任中に解職される可能性もあり、その場合は人民議会と共和国参議院の3分の2の過半数の合意が必要でした。大統領が病気や死亡などで職務を遂行できない場合は、人民議会の議長が暫定的にその職務を代行することとなっていました。

ドイツ民主共和国の大統領は、ドイツ連邦共和国の連邦大統領に比べると権限は大幅に制限されており、実質的には非常に弱い立場でした。彼は国家元首として、法律の署名や外国との条約締結、恩赦の権利を行使するなどの責任を負っていましたが、実権を握っていたのはSEDの書記長であり、政治的な影響は限られていました。

1990年4月5日、ベルリンの壁崩壊後には初めての民主的選挙が行われ、人民議会は憲法改正を実施しました。この際、大統領制の復活も検討されましたが、東ドイツの解体が進行中であったため、正式な国家元首を選出することは行われず、特殊な措置がとられました。それによって、人民議会の幹部会が一時的に国家評議会の権限を行使し、人民議会の議長がその職務を担うこととなりました。こうして、ドイツ民主共和国の大統領職は消滅し、歴史の中にその役割を閉じることになります。

歴代共和国大統領

主な蔵宿191外の国家元首として、ウィルヘルム・ピークが唯一フルキーの職責を果たしました。彼の任期を通して、政治体制の変化が続いていったことが記録されています。

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