ドイツ連邦軍軍事史博物館

ドイツ連邦軍軍事史博物館

ドイツ連邦軍軍事史博物館（Militärhistorisches Museum der Bundeswehr、略称MHM）は、ドレスデンのアルベルトシュタット地区に位置する、ヨーロッパでも有数の規模を誇る軍事史博物館です。ドイツ三大歴史博物館の一つとして認められ、ボンの歴史の家やベルリンのドイツ歴史博物館とともに多くの歴史愛好者に親しまれています。2011年には、著名な米国の建築家ダニエル・リベスキンドの設計による大規模な改築を経て、新たに再開館しました。

沿革

MHMは1873年から1877年にかけて、ドレスデンのオルブリヒト広場に兵器庫として建設され、その後の数十年間にわたって様々な役割を担ってきました。兵器庫が完成した1877年には、ザクセン王国軍の大砲や小銃が収蔵され、当初は軍事目的で使用されていました。1914年にはザクセン王国軍博物館として開館し、第一次世界大戦後は借り出されることもありましたが、1940年には陸軍博物館と改名されるに至ります。ドレスデン爆撃の影響を受けることなく開館していたものの、戦後は赤軍により大部分の収蔵品が移され、博物館自体も解体される運命をとりました。

1961年にポツダムで開館したドイツ軍博物館が、1972年にドレスデンへ移され、以降は国家人民軍及びワルシャワ条約機構同盟国の歴史が主に展示されました。1990年にはドイツ連邦防衛省が博物館を引き継ぎ、名称を軍事史博物館に改名しましたが、当初は旧東ドイツの影響が色濃く残った展示が続いていました。2001年、また新規展示に向けた改築が始まり、7年後の2011年に再び新しい姿でオープンしました。

改築

改築は、ダニエル・リベスキンド、ハンス・ギュンター・メルツ、ホルツァー・コブラ―建築事務所により施行されました。当初の予定よりも完成が遅れた理由として、安全装置や併設されたレストランの設置にかかる費用が増大したことが関係しています。改築期間中は、仮の展示が行われ、2011年に新たな常設展示場が開館しました。この新しい常設展示のデザインは、旧館と新しい建築部分が時代を越えたテーマに基づく展示を可能にしており、歴史的建造物を現代建築の形で補うことで、新たな視点を訪問者に提起します。

特に注目すべきなのは、展示と建物の設計が「暴力の存在やその原因」といった文化史に焦点を当てている点です。軍事技術史にとどまらず、博物館は人間の本質や戦争の原因に対して多角的にアプローチしており、訪問者に深い考察を促す場所としての役割を果たしています。

方針と展示

MHMの展示は、一般的な歴史学のアプローチに基づいて、人間を中心に据えることに重点を置いています。博物館内には、約1万点の展示品があり、一般向けに開放されている状態です。常設展示は、大きく分けて旧館の年代順のコースと新館のテーマ別のコースがあり、これにより訪れる人は自分の興味に応じた鑑賞が可能です。

新館では、12のテーマによる展示が展開され、その中で歴史の異なる側面が比較されます。これにより、時代に縛られず多様な視点から軍事の歴史を体感できるようになっています。また、旧館では中世から現代にかけての展示を通じてドイツの軍事と社会の関係が示されています。

屋外エリアには、戦車などの装備品が展示され、訪問者は冷戦時代の歴史にも触れることができます。博物館の運営には予備役の人材が関わり、地域コミュニティとの結びつきも大事にされています。全体として、MHMは単なる軍事博物館にとどまらず、現代の文化史に寄与する重要な機関として位置づけられています。

もう一度検索