ドゥアルテ・ヌノ・デ・ブラガンサ

ドゥアルテ・ヌノ・デ・ブラガンサ：ポルトガル王位請求者の生涯

ドゥアルテ・ヌノ・デ・ブラガンサ（1907年9月23日 - 1976年12月23日）は、ポルトガルのミゲリスタ王位請求者でした。1932年以降は、最後のポルトガル王マヌエル2世の崩御に伴い、立憲派の王位請求者の地位も引き継ぎ、ポルトガル王位の唯一の請求者となりました。

生い立ちと王位継承

ドゥアルテ・ヌノは、ミゲリスタ王位請求者ミゲル2世とレーヴェンシュタイン＝ヴェルトハイム＝ローゼンベルク侯女マリア・テレザの間に、オーストリアのゼーベンシュタイン城で生まれました。彼の祖父ミゲル1世は、女王マリア2世と王位を争い敗北したため、家族は国外追放となっていました。

1920年、ドゥアルテ・ヌノの兄たちが相次いで相続権を放棄したため、わずか12歳でミゲリスタ王位請求者となり、「ドゥアルテ2世」を名乗るとともに、ブラガンサ公位を継承しました。幼少のため、叔母のバルディ伯爵夫人アルデグンデスが摂政を務めました。

立憲派との統合

当時、ポルトガルは共和制となっており、ブラガンサ＝コブルゴ家のマヌエル2世は亡命生活を送っていました。ミゲリスタ派と立憲派は、正統なポルトガル王を巡って対立していましたが、マヌエル2世に後継者がいなかったことが、両派の統合の機会をもたらしました。協議の結果、マヌエル2世はドゥアルテ・ヌノを後継者とすることを決定。1932年にマヌエル2世が亡くなると、王制支持者の大多数はドゥアルテ・ヌノを唯一の王位請求者として認め、ミゲリスタと立憲派の合同が実現しました。

しかし、立憲派の一部はミゲリスタ系のドゥアルテ・ヌノを認めず、別の国王候補を擁立しようとしましたが、実現には至りませんでした。

ポルトガルへの帰還

1950年、ポルトガル議会はミゲル1世とマヌエル2世に対する追放令を撤回し、ドゥアルテ・ヌノを家長とする旧王室に帰国を認めました。しかし、ドゥアルテ・ヌノは自動車事故に遭い、帰国は1952年となりました。

1951年に大統領が死去した際、首相サラザールは王政復古を検討しましたが、最終的に自らが大統領となりました。

1974年、ドゥアルテ・ヌノは邸宅であったサン・マルコス宮殿をコインブラ大学に譲渡し、その2年後に生涯を閉じました。

家族と継承

1942年、ドゥアルテ・ヌノはブラジル皇女マリア・フランシスカと結婚し、3人の息子を儲けました。長男のドゥアルテ・ピオが、現在のブラガンサ公およびブラガンサ家家長となっています。

ドゥアルテ・ヌノは、ヴィラ・ヴィソサ無原罪の御宿り騎士団、聖イザベル騎士団の総長を務めたほか、マルタ騎士団や金羊毛騎士団の騎士にも叙任されていました。

ドゥアルテ・ヌノの生涯は、ポルトガル王家の再興と、国内の分裂を乗り越えようとした努力の歴史と言えるでしょう。

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