マルタ騎士団

エルサレム、ロードス及びマルタにおける聖ヨハネ主権軍事病院騎士修道会

エルサレム、ロードス及びマルタにおける聖ヨハネ主権軍事病院騎士修道会（通称：マルタ騎士団）は、11世紀の十字軍時代に誕生し、現在も存在する歴史ある騎士修道会です。この団体はかつての領土を喪失したにもかかわらず、国際法上で「主権実体」として広く認知されており、112の国と外交関係を築いています。また、エルサレム、ロードスおよびマルタを舞台に展開した活動の他、世界120ヵ国で医療や慈善活動を支援しているのです。

概要

騎士団は1048年ごろ、アマルフィ商人によってエルサレムに設立された聖ヨハネ病院を起源とし、初めは巡礼者の治療を行っていました。教皇パスカリス2世によって正式な騎士修道会として承認されたのは1113年のことです。騎士団は、イスラム勢力に対抗して十字軍の一翼として活動し、キプロス、ロードスを経てマルタ島に本拠を移し、1540年以降は現メンバーの呼称ともなる「マルタ騎士団」として知られました。

1565年のマルタ包囲戦では、その勇敢なる防衛戦が語り継がれていますが、1798年にはナポレオンの侵攻によりマルタ島を追われ、以降は外交活動に重点を置いてきました。1822年には国家主権の維持が認められ、1834年からはローマを本拠地とし、現在に至っています。

現在の活動

マルタ騎士団は、600名の騎士と約95,000名のボランティアを有し、主に医療、教育、社会支援に焦点を当てた慈善事業を展開しています。また、12の管区、48の国家支部、133の外交団を持ち、活動の幅広さを示しています。国際連合および欧州連合にオブザーバーとして参加しており、国際的な舞台でも存在感を発揮しています。

その上、騎士団は独自のパスポートや通貨を発行し、国際的な地位を確立しています。約500名の騎士が外交活動に携わっており、特に日本からは武田秀太郎氏が2022年に叙任されたことが注目されています。

統治構造

マルタ騎士団の元首は総長（Gran Maestro）で、終身制で選出されます。立法、行政、司法の三権は既に整備されています。高い倫理基準のもと、医療技術職や教育分野において専門家による運営が行われるとともに、騎士団内部での厳格な選出プロセスが特徴です。

偽団体への警戒

マルタ騎士団の名を利用した詐欺団体も存在し、注意を促しています。騎士団は、偽団体からの勧誘には警戒し、真実を確認するよう呼びかけています。特に、騎士団への入団には、カトリック教徒であることが求められ、選抜された者には厳しい修練の期間が設けられています。

結論

歴史的な背景を持ち、今なお強力な影響を持つマルタ騎士団は、信仰と慈善活動を基盤として、世界中で人々の支援に取り組んでいます。1300年以上にわたる伝統を持つこの団体は、宗教的な使命を果たしながら、現代社会においてもその役割を果たしているのです。

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