ドグソミーン・ボドー

ドグソミーン・ボドーの生涯

ドグソミーン・ボドー（Dogsomyn Bodoo, 1885年? - 1922年8月31日）は、20世紀初頭のモンゴルにおいて、激動の時代を生きた政治家、革命家です。彼はラマ僧から民族主義者、革命家へと転身し、モンゴル人民革命党の創設メンバー「最初の7人」の一人として、モンゴルの政治史に名を刻みました。

生い立ちと教育

ボドーは、1895年頃に現在のトゥヴ県マンジル・フタグトで生まれました。首都ウランバートルの学校でモンゴル語と文学に関する高度な教育を受け、その後、宗務局やロシア領事館通訳学校でモンゴル語教師として活動しました。ボドーはモンゴル語に加え、中国語、チベット語、満州語にも堪能な語学の才に恵まれていました。また、ハルビンの新聞「Mongolyn Sonin Bichig」のウランバートル支局代表や「Shine Tol'」、「Niislel Hureeniy Sonin Bichig」の通信員、編集者としても活躍しました。

革命運動への参加

ロシア領事館での勤務を通じて、ボドーは多くのロシア人と親交を深め、ロシア革命の影響を受けてボリシェヴィキに傾倒していきました。1919年、中国によるウルガ（現在のウランバートル）の自治権剥奪はモンゴル民族主義を刺激し、同年9月、ボドーらは秘密革命組織「領事館丘グループ」を結成しました。このグループには、ダムビン・チャグダルジャヴやボドーのロシア語通訳を務めていたホルローギーン・チョイバルサンなどがいました。同時期にソリーン・ダンザン率いる「東フレー・グループ」も結成され、両グループは後に合流してモンゴル人民党（後のモンゴル人民革命党）となりました。

人民党は中国支配からの脱却を目指し、ソビエト・ロシアとの友好関係を重視しました。1920年、ボドーはスフバートル、チャグダルジャヴ、チョイバルサン、ダンザンらと共に、ボリシェヴィキとの関係を築くための使節団としてロシアへ派遣されました。

モンゴル首相としての活動

1921年3月にモンゴル臨時人民政府が成立すると、ボドーは外相に就任し、同年4月16日にはチャグダルジャヴの後任として首相に就任しました。彼は外相と首相を兼任し、1921年9月14日にはモンゴルの独立宣言に署名しました。しかし、ボドーと人民党議長となったソリーン・ダンザンとの間には、政治的な対立が深く根付いていました。ダンザンは蔵相在任中、ボドーを「短気で近視眼的」と批判し、彼の失脚を画策するようになりました。

失脚と粛清

1921年後半、ボドーは近代化を推進するためにモンゴル革命青年同盟（MRYU）を利用し、モンゴルの民族衣装デールの襟を切るキャンペーンを始めました。このキャンペーンは、反ボドー派であったダンザン、リンチノ、チョイバルサンらによって、ボドーを失脚させるための口実に利用されました。ダンザンはボドーを批判し、彼が革命を蝕み、独裁を企てて中国やアメリカと共謀していると非難しました。また、独立派の指導者ジャ・ラマとの関係も問題視されました。その結果、ボドーは1922年1月7日に健康上の理由で政府内の全ての公職を解任されました。

最期

失脚後、ボドーは穏やかな引退生活を送ることを許されませんでした。モンゴル国内のラマ仏教勢力と政府内部の穏健派と急進派の対立に巻き込まれ、ボドーはチャグダルジャヴら14人の閣僚経験者と共に、反革命分子として有罪判決を受け、1922年8月31日に処刑されました。彼の短い生涯は、モンゴルの激動の歴史を象徴するものと言えるでしょう。

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