ドジョウ科

ドジョウ科について

ドジョウ科（Cobitidae）は、コイ目に分類される魚類の一群で、世界中に約190種が存在します。日本国内では、3属からなる26種・亜種が確認されています。この中には外来種も含まれており、一部は学名がまだ確定していない状態です。「どじょう」とは一般的にこの科全体を示す名称ですが、英語では「ローチ」と呼ばれ、多くの場合ドジョウ科全体を指します。歴史的には、ドジョウ上科という分類があったが、現在ではそれがドジョウ科の範囲に再編成されています。そのため、他の科や属に属する魚は本記事の対象外となっています。たとえば、タイワンドジョウ（Channa maculata）はドジョウ科には含まれません。

分布

ドジョウ科の魚は、ユーラシア大陸全体、台湾、日本列島、さらには北アフリカのエチオピアやモロッコなど、広範囲に分布しています。

形態

これらの魚は細長い体型を持ち、口は下向きで小さく、口髭は3〜5対存在します。さらに、腹部は平坦で底生の生活スタイルを持ちます。ドジョウ科の魚は真鱗がないことが特長で、オスとメスを判別するためには、オスの胸鰭が大きく鋭くなる点が参考になりますが、アジメドジョウ属などにおいてはその判別が難しい場合もあります。また、シマドジョウ属では自然環境下での2倍体、3倍体、4倍体の個体も見られます。

口髭

ドジョウ科の全種は特有の口髭を持ち、吻端の1対、上唇の1対、さらには口端の1対、合計で通常6本の髭が存在します。ドジョウ属の種においては、この数が最大10本に達することがあります。これらの口髭は主に感覚器官として機能しています。

骨質盤

成魚のオスには胸鰭の基部に発達した骨質盤があります。骨質盤の形やサイズは種によって異なり、この特徴によって種の特定や分類が可能です。オスの胸鰭が大きく、骨質盤が目立つのは、雌の産卵を誘導するためであると考えられる一方、その進化的背景はまだ未解明な部分があります。特にドジョウ属の成熟したオスでは、背鰭付近の体側が盛り上がり、雌の産卵時に重要な役割を果たします。

分枝軟条

胸鰭は1本の棘上軟条から始まり、それ以外の分枝軟条に繋がります。この分枝軟条は典型的には、起部が1本で先端に向かって分かれる特性を持っています。第1分枝軟条は上下2つの部分からなり、その幅は種によって異なります。

日本のドジョウ科

日本に生息するドジョウ科の魚は、特に多様性に富んでおり、3つの属から26種・亜種が目前に見られます。

各属の特徴

• - ドジョウ属: 口髭は5対、尾鰭は円い形状。主に日本に5種が確認されており、そのうち外来種が1種、学名未決定が3種存在します。
• - シマドジョウ属: 口髭は3対、尾鰭は直線状。明瞭な斑紋が体表にあり、約90種が分布しています。日本には20種・亜種が記録されています。
• - アジメドジョウ属: 口髭は3対で、体全体が吸盤状に近く、特有の形状が観察されます。日本では1種が見られ、現在はシマドジョウ属に編入されています。

利用と文化

日本では、戦国時代の公家によりドジョウ科に関する食文化が記録されています。江戸時代にはドジョウ料理が多くの文学作品に登場しますが、そのドジョウを食べることは当時「品が無い」とされました。現在、ドジョウ、アジメドジョウ、ヒガシシマドジョウが一般に食されていて、特にドジョウは養殖が行われています。

ドジョウに関連する文化も豊かで、シェイクスピアの作品に登場するほか、コンピューターゲームの中でもその存在が示唆されています。また、日本各地でドジョウ科魚類への信仰があり、神事や祭りにおいて料理することや捕獲した魚を供養する行為が行われています。これらの文化は、地域ごとに独自の形を持っており、ドジョウがもたらす豊富な伝承が根付いています。

もう一度検索