ドット落ち

ドット落ちとは

ドット落ちとは、画像を表示する際に、マトリックス状に配置された画素（ドット）の一部が正常に表示されない現象を指します。これは、表示装置や撮像装置における機能上の不具合であり、不良ドットや画素抜け、画素欠けとも呼ばれます。特に液晶ディスプレイやデジタルカメラの受像素子において、この問題が顕著に現れます。

ドット落ちの概要

ドット落ちとは、画素を単位とした不具合を指し、線状の不良（ライン欠陥）や表示ムラとは区別されます。表示装置では、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどに不良画素として現れることがあります。また、撮像装置では、デジタルカメラやビデオカメラのCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサに不良画素として見られます。

これらの装置では、画素の集合によって画像が表示されたり、入力された光学的情報が電気信号に変換されて画像データが生成されます。この際、画素が正常に機能しない場合、本来の色や明るさで表示されず、輝点（常時点灯）や黒点（常時非点灯）として現れたり、異なる色で表示されるなどのエラーが生じます。特にドット落ちでは、このようなエラーが特定の画素に発生します。また、表示装置では、液晶ディスプレイだけでなく、道路情報掲示板や電光掲示板でも経年劣化によって発光しない画素がドット落ちとして現れることがあります。

製造時には、異物混入やパネルの変色などがドット落ちと誤解されるケースもあります。

液晶ディスプレイのドット落ち

液晶ディスプレイは、テレビからパソコン、スマートフォンまで幅広く使用されています。中でも、薄膜トランジスタ（TFT）を各画素に配置したTFT液晶ディスプレイが主流です。TFT液晶パネルは、液晶パネルメーカーで製造され、アレイ基板とカラーフィルター基板を貼り合わせて作られます。これらの基板は、非常に清浄な環境で製造されますが、確率的に一定割合で機能不良が生じてしまいます。この不良が画素単位で発生したものがドット落ちです。

ドット落ちの原因

ドット落ちの原因は多岐にわたります。アレイ基板の電気的な不良では、常時点灯するドットや常時消灯するドットが生じ、カラーフィルター基板の不良では、色抜けや常時消灯するドットが生じます。TFT液晶パネルでは、各画素に配置されたTFTが設計通りに動作することが求められますが、微細なTFTの製造過程で、膜の形成やパターン化の際に、塵や異物が混入すると不良が発生し、ドット落ちにつながります。

特に、液晶パネルの大型化は歩留まりを低下させる要因となります。同じサイズの異物が付着した場合でも、大型パネルほど不良になる確率が高くなります。そのため、ドット落ちを完全に除去することは現在の技術では不可能とされており、事後的な不良ドットの除去や、許容基準を定めた選別が行われています。

製品中のドット落ち

多くの製品では、1画面あたり数個程度のドット落ちが許容範囲として出荷されています。これは、ドット落ちが実用上問題ないレベルであり、完全にドット落ちのない製品のみを製造しようとするとコストが大幅に上昇してしまうためです。メーカーは、ドット落ちの種類、位置、色、相互の距離などを考慮した詳細な出荷基準を定めています。

ドット落ちとメーカーの取り組み

ドット落ちは、製品の品質に関する重要な問題であり、ユーザーの許容範囲には個人差があります。特に、表示領域の目立つ場所にドット落ちがあると、ユーザーの満足度を低下させる可能性があります。そのため、メーカーはドット落ちの低減に向けてさまざまな取り組みを行っています。具体的には、以下の様な対策が挙げられます。

品質管理の徹底: 製造過程での異物混入を防止し、不良画素の発生を抑制します。
リペア工程の導入: 製造途中で不良画素を補正・修正します。
エイジング処理: 出荷後のドット落ち増加を防ぐため、一定の強制劣化処理を行います。
表示方式の工夫: 不良画素が目立ちにくいように、黒点になりやすい表示方式を採用します。
詳細な出荷基準の設定: ドット落ちの種類、位置、色、距離などを考慮した許容範囲を定めます。

まとめ

ドット落ちは、表示装置や撮像装置における画素の不良であり、製造上の課題として避けられないものです。しかし、メーカーは技術開発や品質管理を徹底することで、ドット落ちの影響を最小限に抑える努力を続けています。ドット落ちはユーザーの製品選びに影響を与える要素の一つであるため、メーカーの取り組みや製品の特性を理解することが重要です。

関連項目

不良品
クレーム

外部リンク

パソコン用液晶ディスプレイのドット抜けに関する定量的表記ガイドライン （JEITA）
* モニター不良画素点検ホームページ

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