ドッペルゲンガー (映画)

映画『ドッペルゲンガー』の概要

『ドッペルゲンガー』は、2003年に公開された日本のサスペンス映画で、名監督・黒沢清が手がけた作品です。本作は、ドイツの神話に由来する分身の存在、つまり「ドッペルゲンガー」をテーマにし、奇妙なストーリーが展開されます。本作は、ユーモアとサスペンスを交えた独特の雰囲気が魅力です。

プロット概要

映画の中心には、デザイン業界で働く女性・永井由佳（演：永作博美）がいます。彼女は、引きこもり気味の弟・隆志（演：鈴木英介）を抱えていますが、彼は自ら命を絶った結果、由佳は隆志のドッペルゲンガーと共に生活をする羽目になります。これが不思議な出来事の始まりです。

一方で、医療機器メーカーで働く技術者・早崎道夫（演：役所広司）は、自由に動かせる義手付きのロボットを開発中。一見順調な彼の生活は、ある日、自分自身のドッペルゲンガーに出くわすことで一変します。

物語は、隆志のドッペルゲンガーが早崎のドッペルゲンガーによって撲殺されるという衝撃的な展開からスタートします。早崎は自身のドッペルゲンガーも手に掛けざるを得なくなり、その遺体を工場の床下に埋めることになります。こんな状況を利用しようとするのが、野心的な君島（演：ユースケ・サンタマリア）です。彼は早崎のロボットを強奪しようと狙います。

クライマックスと結末

君島の目論見が進む中、早崎は由佳とともに彼を追跡しますが、逃亡劇は廃墟でのスリリングな展開を迎えます。早崎は最終的に君島を狙い撃ちしようとしますが、由佳の言葉により復讐の念を振り払います。そして二人は、奪還したロボットをトラックから降ろした後、崖からそのロボットを投身自殺させるという衝撃的な選択をします。

本作の最後は、早崎と由佳が並んで一本道を歩く姿で締めくくられ、観る者に深い余韻を残します。

主要キャストとスタッフ

• - 早崎道夫：役所広司
• - 永井由佳：永作博美
• - 君島：ユースケ・サンタマリア
• - 永井隆志：鈴木英介
• - 助演：ダンカン、戸田昌宏、佐藤仁美、柄本明等。

また、黒沢清本人が務めた脚本も話題に。音楽を担当した林祐介の楽曲が印象的で、本作の雰囲気をさらに高めています。エンディングテーマは、Pe’zによる「アンダルシア -Andalucia-」が用いられています。

映像とソフト化

本作は、前作『アカルイミライ』同様、デジタルビデオで撮影されています。DVDもリリースされており、メイキングや未公開シーン、オーディオコメンタリーなどの特典が満載です。

エンディング

『ドッペルゲンガー』は、ただのホラーやサスペンスではなく、不思議な分身の存在を通して人間の内面や人間関係の複雑さを掘り下げている作品です。黒沢清監督の独自の視点が光る本作は、観客に深く考えさせる要素を残しつつ、ユーモアも交えた独特な映画体験を提供しています。

もう一度検索