ドノバン・ラドック

ドノバン・ラドック、通称「レイザー」は、1963年12月21日にジャマイカで生まれ、後にカナダを拠点に活動したプロボクサーです。191cmの長身と208cmのリーチを活かし、その強打で観客を魅了しました。アマチュア時代には、後に世界ヘビー級王者となるレノックス・ルイスに勝利した経験も持ちますが、プロの世界ではリベンジを許しています。

プロキャリア

1982年3月20日、クルーザー級でプロデビューを果たし、ウェス・ロウに4回TKO勝利を収めました。その後、着実にキャリアを重ね、1986年8月23日には元WBA世界ヘビー級王者のマイク・ウィーバーに10回判定勝ちを収め、その実力を示しました。

1988年5月28日には、ケン・ラクスタを1回KOで下し、カナダヘビー級タイトルを獲得。さらに、1989年7月22日には元WBA世界ヘビー級王者のジェームス・スミスに7回KO勝ち、1990年4月4日には元WBA世界ヘビー級王者のマイケル・ドークスを4回KOで倒すなど、強豪を次々と撃破し、その名を轟かせました。

マイク・タイソンとの激闘

ラドックの名を世界に知らしめたのは、1991年に行ったマイク・タイソンとの2度にわたる対戦でした。1991年3月18日の初戦では、7回TKOで敗北を喫しますが、その激しい打ち合いは多くのファンを魅了しました。同年6月28日に行われた再戦では、12回判定で再び敗れるも、そのアグレッシブなファイトスタイルは大きな注目を集めました。特に、ラドックの必殺技である左アッパー「スマッシュ」は、相手をなぎ倒す威力がありました。

世界王座への挑戦と引退

タイソン戦後も、1992年2月15日に元WBA世界ヘビー級王者のグレグ・ペイジに8回TKO勝利するなど、強豪との対戦を続けました。しかし、1992年10月31日にはWBC世界ヘビー級タイトル挑戦権をかけてレノックス・ルイスと対戦し、2回TKO負けを喫しました。1995年6月10日には、元WBO世界ヘビー級王者のトミー・モリソンにも6回TKO負けを喫するなど、世界タイトルへの道は開かれませんでした。

その後、ラドックは一度引退しましたが、2001年10月12日にカナダヘビー級タイトルマッチでエートン・マーカスに10回KO勝ちし、同タイトルを獲得しました。2015年3月28日には51歳で現役復帰し、5回TKO勝ちを収めましたが、同年9月11日にはディロン・カーマンに3回KO負けを喫しました。

2023年11月11日には、元3階級制覇王者のジェームズ・トニーとエキシビションマッチで対戦し、引き分けに終わりました。

引退後の生活

引退後、ラドックは事業に挑戦しましたが、1995年にはマイアミで経営していたナイトクラブの閉鎖などの失敗により破産を申請。2006年には、手動式圧縮装置付きの家庭用ゴミ箱「The Boxer Compacter」を開発・販売しましたが、共同経営者との裁判沙汰で販売を停止、自宅を売却することになりました。このように、リング外では不運に見舞われることもありました。

獲得タイトル

WBAインターコンチネンタル・ヘビー級王座
カナダ・ヘビー級王座
* IBCヘビー級王座

ドノバン・ラドックは、その激しいファイトスタイルと強烈なパンチで、多くのボクシングファンを魅了しました。世界王座には届かなかったものの、彼の名はボクシング史に刻まれています。

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