ドミニカ・ペソ

ドミニカ・ペソは、ドミニカ共和国で使用されている公式の通貨です。通貨の補助単位として、1ペソは100センターボに相当します。

ドミニカ・ペソの歴史

ドミニカ・ペソが初めて発行されたのは、1844年のドミニカ共和国のハイチからの独立時です。このとき、ドミニカ共和国は独自の通貨を持つようになりました。1877年には、ペソの下位単位としてセンターボが導入され、1ペソが100センターボと定められました。

しかし、1891年から1897年の間には、ドミニカ・フランコという新しい通貨が一時的に導入されました。その後、1905年には、ドミニカ共和国の通貨はアメリカ・ドルに切り替えられ、1ドルが5ペソのレートで交換されました。1937年になると、ペソ・オロが発行され、ドミニカ共和国は再び独自の通貨を持つようになりました。アメリカ・ドルは、1947年までペソと並行してドミニカ国内で使用されていました。

硬貨

ドミニカ・ペソの硬貨は、その歴史の中で様々な種類が発行されてきました。

1844年には、4分の1レアル硬貨が青銅で、1848年には真鍮で発行されました。1877年には、1、2½、5センターボ硬貨が発行され、1882年から1888年の間には1¼センターボ硬貨も発行されました。

ドミニカ・フランコの使用が中止された後の1897年には、10、20センターボ硬貨と½、1ペソの銀貨が発行されました。ペソが再導入された後の1937年には、1、5、10、25センターボ硬貨と½ペソ硬貨が発行されました。1939年には1ペソ硬貨が発行され、1991年には5、10、25ペソ硬貨が発行されました。

しかし、インフレーションの影響により、現在では1ペソ以下の硬貨はほとんど流通していません。

紙幣

ドミニカ・ペソの紙幣もまた、長い歴史の中で様々な変遷を遂げてきました。

1848年には40、80ペソ紙幣が発行され、1949年には1、2、5ペソ紙幣が、1958年には10、50ペソ紙幣が導入されました。1865年にはComision de Haciendaが50、200ペソ紙幣を、Junta de Creditoが10、20ペソ紙幣を発行しました。1866年には5、40センターボ紙幣が、1867年には1、2、5、10ペソ紙幣が発行されています。また、1862年にはIntendencia de Santo Domingoによって、½、2、5、15、25ペソ紙幣が発行されました。

さらに、2つの民間銀行も発券業務を行っていました。Banco Nacional de Santo Domingoは、1869年から1889年まで25、50センターボ、1、2、5、10、20、25、100ペソ紙幣を発行していました。Banco de la Compañia de Crédito de Puerto Plataは、1880年代から1899年まで25、50センターボ、1、2、5、10、50ペソ紙幣を発行していました。

1937年にドミニカ・ペソが再導入されても、紙幣は10年間発行されず、米ドル紙幣が流通し続けました。1947年になってようやく中央銀行によって1、5、10、20、50、100、500、1000ペソ紙幣の発行が開始されました。1961年には、10、25、50センタボ紙幣も発行されました。

2000年には、2000ペソ紙幣が発行されました。現在流通している紙幣は50、100、200、500、1000、2000ペソです。10、20ペソ紙幣は、それぞれ硬貨に置き換えられつつあります。2010年には新しい20ペソ紙幣が発行されました。1992年にはアメリカ大陸発見500周年を記念して500ペソ記念紙幣が、2000年にはミレニアム記念で2000ペソ記念紙幣が発行されました。

現在の状況

現在、ドミニカ・ペソはドミニカ共和国の経済活動に不可欠な役割を果たしています。インフレーションなどの影響を受けながらも、その歴史を紡いでいます。紙幣と硬貨のデザインは、ドミニカ共和国の文化や歴史を反映しており、国民のアイデンティティを象徴する重要な要素となっています。

ドミニカ・ペソは、その発行から現在に至るまで、ドミニカ共和国の歴史と深く結びついてきました。その変遷を辿ることで、ドミニカ共和国の経済発展と社会変動を理解する上で重要な手がかりとなります。

もう一度検索