ドミートリー・ドンスコイ

ドミートリー・ドンスコイの生涯と業績

ドミートリー・ドンスコイ（1350年10月12日 - 1389年5月19日）は、モスクワ大公国の重要なリーダーとして知られています。本名はドミートリー・イヴァーノヴィチであり、彼の名前には「ドン川のドミートリー」という意味が込められています。これは彼がドン地方での戦で多くの武功を挙げたことに由来します。

大公位の継承

彼は、1359年に父イヴァン2世の死去により、わずか9歳でモスクワ大公位を継承しました。その間、府主教アレクシイが摂政として彼を支え、1389年までの間にさまざまな政治的、軍事的な課題に対処していきました。特に、1371年にはママイのもとに赴き、ウラジーミル大公位を獲得しました。

ドミートリーの統治と敵対

彼の治世中、ドミートリーは何度もトヴェリ大公ミハイルとその義兄弟、リトアニア大公アルギルダスからの侵攻を受けましたが、これを見事に退けました。1375年にはロシア連合軍を率いてトヴェリを攻撃し、勝利した結果、ミハイルから「兄」として敬われ、ウラジーミル大公位の請求権を放棄させることに成功しました。

クリコヴォの戦い

1380年、ドミートリーは著名なクリコヴォの戦いでママイと対峙しました。この戦いはルーシ諸公国にとってタタールに対する画期的な勝利となり、モスクワ大公国の威信を大いに高めました。この成果はロシアが「タタールのくびき」から少しずつ脱却するきっかけともみなされています。しかし、その後にトクタミシュ・ハンが台頭し、再びモスクワを攻撃しました。ドミートリーは再度ハンに臣従を誓い、大公の地位と徴税権を確保しました。

死去と後継者の指名

1389年、彼は生涯を終えましたが、その際、慣習に逆らい、ハンの同意なしに息子ヴァシーリー1世を後継者に指名しました。遺言の中で、彼はウラジーミル大公国をモスクワの世襲地と宣言し、将来的にハン国が動揺した場合には貢納の停止を指示しました。

家族と子女

ドミートリーの子女には、ヴァシーリー1世のほか、ダニール、ユーリー、セミョーン、アンドレイ、ピョートルなどがいます。また、ソフィヤ、マリヤ、アナスタシヤなどの娘たちも存在し、リャザン大公やホルム公と結婚することで、政治的な結びつきを強化していました。

まとめ

ドミートリー・ドンスコイは、モスクワ大公国の歴史において重要な役割を果たし、タタールとの戦争における指導力は特に評価されるべきものです。彼の業績は後の世代にも大きな影響を与え、モスクワの発展への道筋を築きました。ドミートリーの名は、ルーシの歴史の中で永遠に刻まれることになるでしょう。

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