ドライゼM1907

ドライゼM1907：歴史と特徴

ドライゼM1907は、ルイス・シュマイサーによって設計された自動式拳銃であり、その名称はドライゼ銃の設計者であるニコラウス・フォン・ドライゼに由来する。1901年にヴァッフェンファブリーク・フォン・ドライゼ社がライニッシェ・メタルヴァレン&マシーネンファブリークに買収された後も、ドライゼの名で販売が続けられた。この拳銃は、ブローニング・ピストルの初期デザインに影響を受けている。

特徴的な設計

M1907は、当時の拳銃としては珍しい特徴を備えていた。射撃準備が完了すると、撃針が薬室を閉鎖するブロックの後端から突出して見えるため、コッキングインジケーターとしての役割を果たした。また、クリーニング時には、トリガーガード前方のピンを軸にフレーム、レシーバー、スライドを前方に回転させるという独特な分解方法を採用している。本銃とその派生型であるドライゼM1907ポケットピストルやドライゼM1912パラベラムは、シンプルなブローバック作動方式ながらも、その設計は特異である。

ドライゼ社の歴史

ヴァッフェンファブリーク・フォン・ドライゼ社は、1841年にプロイセン陸軍向けのドライゼ銃を製造するために設立された。その後、ニードル・ピストルや管打式リボルバーも製造したが、1872年にドイツ陸軍がマウザー社の製品を採用したことで衰退。1901年には、ライニッシェ・メタルヴァレン&マシーネンファブリークに買収された。

開発の経緯

ドライゼM1907は、1905年から1906年にかけてルイス・シュマイサーによって設計され、1907年以降に販売が開始された。シュマイサーは以前、テオドール・ベルグマンと共にベルグマン機関銃の開発に携わっていた。

M1907は、7.65mm弾を使用する自動拳銃としては初期のものであり、独特な構造を持つ。クランク状に曲げられたスライドの大部分は銃身の上部に沿って配置され、短い部分が薬室後方に突出してブリーチブロックとして機能する。リコイルスプリングは銃身を包み込むように配置され、フレーム内に固定されている。スライド前部には指をかける溝があり、スライドを引き戻すとブリーチブロックが後方に露出する。

ドライゼ拳銃は撃針によって発火する。薬室に弾薬が装填されると、撃針の尾部がブリーチブロックの後端から突出する。フレームとスライドの上部は、トリガーガード前部のピンを中心に回転させることができ、フレーム後端の留め金によって射撃位置に固定される。この構造は分解に不可欠であり、クランク状に曲げられたスライドは、他の方法では取り外すことができない。

ドライゼの設計は、ジョン・ブローニングのFN M1900から強い影響を受けている。ブローニングはリコイルスプリングを銃身の上部に配置したが、ドライゼは同心円状に配置した。しかし、全体的な形状、グリップの形状と角度、外観のデザイン、弾倉のリリース方法、手動安全装置の位置、ブリーチブロックなどには類似点が見られる。

設計の改良

設計の大きな改良点は発射機構に関するものだった。1915年以前は、コック状態の撃針はシアによって固定され、引き金を引くことで解放されていた。その後、引き金を引くと撃針が押し戻されてから解放されるようになり、撃針のバネが大幅に圧縮されるようになった。また、スライド前面にくぼみを設け、リコイルスプリングを保持するブッシュを取り外しやすくするなどの変更も加えられた。

バリエーション

初期のモデルには、「DREYSE Rheinische Metallwaren- & Maschinenfabrik ABT. SOMMERDA」の刻印がフレームの左側にあり、「RMF」のモノグラムがグリップに刻印されていた。後期のモデルには通常、「DREYSE RHEINMETALL ABT. SOMMERDA」の刻印がある。1914年に製造された一部のモデルには「DREYSE」の刻印がないものもある。これらは、ロイヤルサクソン警察隊などの警察部隊に商業用として販売されたもので、「K. Sachs. Gend.」のような刻印が施されている。

軍での使用

ドライゼM1907は、主にオーストリアの兵員が第一次世界大戦中に使用し、オーストリア＝ハンガリー帝国の士官に特に採用された。また、第一次世界大戦中のドイツ帝国士官にも使用された。ドイツ帝国陸軍向けに生産された拳銃には、銃の右側にある薬莢排出口の上に受領時の刻印がある。同様に、Crown Nの一般的な商標刻印が、フレームの左側面とトリガー付近のスライドに刻印されている。

第二次世界大戦中には、ドイツ国防軍の兵員、特に士官が使用する例が見られた。戦争末期には、国民擲弾兵や国民突撃隊のために大量に供給された。これらの部隊には、いわゆる「ラストディッチ」と呼ばれるプレストフ製のホルスターが付属していた。終戦後、アメリカ兵によって大量に持ち帰られ、現在ではアメリカ国内で価値のある銃となっている。プレストフ製のホルスターは紙製のため、現存しているものは少ない。

1921年と1922年には、チェコ陸軍が数千丁を購入したが、1923年には詳細不明の理由により軍での使用を中止した。1912年には、教皇を守るバチカンのスイス衛兵が、士官と下士官用に30丁のドライゼM1907を必要とした。これらは、SIG P225拳銃（スイスではP75と呼ばれる）に代替される1980年まで使用された。

第二次世界大戦中、この拳銃はノルウェーのレジスタンスの手に渡った。多数のドライゼM1907が、自作のステンガンや非合法な無線機とともに、レジスタンス活動家やその協力者の家屋の壁に隠されているのが発見された。ドライゼ拳銃を用いたノルウェーでの作戦は記録されていない。

輸入と採用国

アメリカはドライゼM1907を契約によって正式に輸入したことはないが、第二次世界大戦後には兵士たちが相当数を持ち帰った。

採用国は以下の通りである。

オーストリア＝ハンガリー帝国
フィンランド
ドイツ帝国
ナチス・ドイツ
リトアニア
オスマン帝国
* バチカン市国

現在、ドイツのムンスター戦車博物館には、ドイツ陸軍の携行武器の展示の一部としてドライゼM1907が展示されている。

メディアでの使用

ドライゼM1907は、ボードゲーム「クルード」の初期バージョンに登場するが、名前が回転式拳銃に誤って付けられている。フリッツ・ラングの1933年の映画『怪人マブゼ博士』にはドライゼ1906という銃が登場する。これは、暗殺者ハーディがDr.クラムを殺害するために使用する。

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