ドライデッキ・シェルター

ドライデッキ・シェルター（DDS）について

ドライデッキ・シェルター（DDS）は、潜水艦に装着できる特殊なモジュールであり、主に潜水艦が潜行中にダイバーが出入りしやすくするためのエアロック機能と、小型潜水艇を内部に格納するための収納庫を組み合わせた設計になっています。これにより、潜水艦の運用能力が大幅に向上し、特殊部隊の任務を支援する重要な役割を果たします。

アメリカ海軍におけるDDSの特性

アメリカ海軍のDDSは全長11.6メートル、高さ・幅ともに2.7メートルというサイズで、ホスト潜水艦のセイルの後部に取り付けられます。その取り付けによって、潜水艦の水中排水量が約30トン増加します。このモジュールはトラックやC-5ギャラクシーなどの輸送機で移動可能で、取り付けにはホスト潜水艦の改造が必要です。この改造には、接合ハッチの配置や電気接続、換気システム、ダイバー用の呼吸空気供給システムなどが含まれます。

設置作業は、テストを含めて約1日から3日かかります。DDS自体はガラス繊維強化プラスチック（GFRP）製の外装で覆われ、内部にはHY-80合金鋼製の3つの区画が存在します。

最前部には、ダイバーに対する緊急処置が可能な球形の加圧チャンバーがあり、その後ろにダイバーの出入りを可能にするエアロック、最後部には格納庫があります。格納庫の後端には開閉可能な外部ドアがあり、ここから小型潜水艇が射出されます。

この格納庫には、SEAL輸送潜水艇（SDV）を格納することができ、最大4名のNavy SEALsがこの潜水艇に乗り込み、特殊任務に出発します。また、20名のNavy SEALsが4隻の戦闘用ゴムボート（CRRC）を使用するケースもあります。

アメリカ海軍第3特殊戦闘群の下には、SDVを運用するための2つのチームが存在し、そのうちの一つ、SDVT-1は現在も活躍しています。SDVT-2は2008年に廃止されましたが、その任務はより小規模な部隊に引き継がれました。

現在、アメリカ海軍では計6基のDDSが運用されており、そのうちの最初のものは1982年にジェネラル・ダイナミクス・エレクトリック・ボートで製造されたDDS-01Sです。その後に製造された5基も1987年から1991年にかけて、ノースロップ・グラマン・ニューポート・ニューズにて製造されました。

それぞれのDDSは、海軍ダイバーと専門のメンテナンス会社であるOceaneering International社による共同作業により保守されています。使用寿命は約40年程度と見込まれています。

DDSを搭載可能な潜水艦

DDSを搭載できる潜水艦の一覧には、以下のような原子力潜水艦が含まれます。

• - USS Sam Houston (SSN-609)
• - USS John Marshall (SSN-611)
• - USS Kamehameha (SSN-642)
• - USS James K. Polk (SSN-645)
• - USS Archerfish (SSN-678)
• - USS Silversides (SSN-679)
• - USS William H. Bates (SSN-680)
• - USS Tunny (SSN-682)
• - USS Cavalla (SSN-684)
• - USS L. Mendel Rivers (SSN-686)
• - USS Los Angeles (SSN-688)
• - USS Philadelphia (SSN-690)
• - USS Dallas (SSN-700)
• - USS La Jolla (SSN-701)
• - USS Buffalo (SSN-715)
• - USS Jimmy Carter (SSN-23)
• - USS Virginia (SSN-774)
• - USS Ohio (SSGN-726)
• - USS Michigan (SSGN-727)
• - USS Florida (SSGN-728)
• - USS Georgia (SSGN-729)

ただし、2基のDDSを搭載可能な潜水艦や、すでに解役されたものもあります。新たに製造されるバージニア級原子力潜水艦は、ダイバーの出入りを可能にする統合エアロックを装備する予定です。改造されたオハイオ級潜水艦も同様に、2基のDDSを使用するように設計されています。

このように、ドライデッキ・シェルターはアメリカ海軍にとって、特殊任務を遂行する上での重要な装置として位置づけられています。

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