ドライバー:ねじを締緩するための万能工具
ドライバーは、ねじを締めたり緩めたりする作業を行うための必須
工具です。
てこの原理を利用し、
軸を
回転させることでねじを操作します。JIS規格では「ねじ回し」と称され、一般的には「ドライバー」と略して呼ばれています。パソコン関連ではドライバソフトとの混同を避けるため、「ねじ回し」や「スクリュードライバー」と呼ばれることもあります。
ドライバーの種類と特徴
ドライバーは、ねじの溝形状に合わせて様々な種類があります。代表的なものを以下に示します。
1. マイナスドライバー
マイナス溝(-)のねじに対応します。最もシンプルな形状で古くから使われていますが、ねじの
回転軸から外れやすく、作業性に劣る点が挙げられます。叩いたりこじったりする用途には使用せず、ねじ回し専用として使用する必要があります。近年では、特殊開錠用具の所持禁止に関する法律により、不正な目的での携帯が規制されています。
2. プラスドライバー
プラス溝(+)のねじに対応します。フィリップス型ドライバーとも呼ばれ、ねじ頭部の溝にドライバーの先端を合わせると自然に
回転軸が合うため、作業性に優れています。しかし、強く締まったねじを回す際にドライバーの先が浮き上がる(カムアウト)ことがあるため、注意が必要です。プラスドライバーにも、フィリップス型とReed & Prince型があり、互換性はありません。
3. ポジドライブドライバー
プラスドライバーに似ていますが、溝の形状が異なり、カムアウトしにくく、大きな力で締め付けが可能です。特に
ヨーロッパで多く使われています。類似規格にスパドライブがあります。
4. 六角ドライバー
六角穴付きボルトに対応します。大きな
トルクが必要な場合は、
六角棒スパナを使用します。
5. トルクスドライバー
トルクスネジに対応したドライバーです。星形のような形状をしており、
ヨーロッパを中心に普及しています。いじり止めタイプもあり、不正な分解を防止する目的で使用されます。
6. 三角ネジドライバー
ねじ頭に三角形状の凹みがあるネジ専用です。TAとTP3があり、形状が異なります。
7. トライウイングドライバー
トライウイングねじ専用のドライバーです。3つの羽根形状の先端が特徴で、不正開封防止のために使用されます。
8. スクエアドライバー(四角ドライバー)
ロバートソンドライバーとも呼ばれ、四角い凹み部のあるねじに対応します。ねじとの密着度が高く、
トルクを伝えやすい反面、過剰な締め付けに注意が必要です。
9. ボックスドライバー
ナットドライバーとも呼ばれ、先端がソケット形状になっています。小サイズのボルトや
ナットに適しています。
10. その他
上記以外にも、コインドライバー、ドライバーハンドル、精密ドライバー、スタビードライバー、フレキシブルドライバー、電工ドライバー、検電ドライバー、
ラチェットドライバー、オートマチックドライバー、
トルクドライバー、インパクトドライバー、ショックドライバー、電動ドライバー、コアドライバー、貫通ドライバー、キャッチドライバーなど、様々な種類のドライバーがあります。それぞれのドライバーは、用途や作業環境に合わせて使い分けられます。
ドライバーの歴史
ドライバーの歴史は古く、16世紀にはすでにねじとドライバーが存在していました。当初は、手作業でねじ山を切るなど、製造は困難で高コストでした。
18世紀には
フランスで広く使用され、
イギリスでも「ターンスクリュー」と呼ばれていました。その後、ねじ製造技術の革新により、安価で高品質のねじが大量生産されるようになり、ドライバーも普及していきました。フィリップスねじやロバートソンねじなど、様々な形状のねじとドライバーが開発され、現代に至っています。
ドライバーの選び方
ドライバーを選ぶ際には、使用するねじの種類とサイズ、作業環境などを考慮することが重要です。例えば、精密な作業には精密ドライバーを、狭い場所ではスタビードライバーやフレキシブルドライバーを使用するなど、適切なドライバーを選択することで、作業効率を上げ、ねじを傷めるリスクを減らすことができます。また、材質やハンドル形状なども、作業性や耐久性に影響するため、用途に合わせて選ぶことが重要です。
ドライバーの使用方法
ドライバーをねじ頭部の溝に垂直に差し込み、しっかり握って力を加えて締め付けます。ねじのサイズや材質に合わせたドライバーを使用することで、ねじの損傷を防ぎ、安全に作業を行うことができます。
まとめ
ドライバーは、ねじを扱う上で不可欠な
工具です。その歴史と多様な種類、そして選び方や使用方法を理解することで、より安全で効率的な作業を行うことができます。様々な種類のドライバーを適切に使い分けることで、様々な作業に対応することができます。