ドラガチェヴォの集い

グチャ・トランペット音楽祭、あるいはドラガチェヴォの集いは、セルビアのチャチャク近郊のグチャという小さな町で毎年開催されるトランペット音楽の祭典です。セルビアの首都ベオグラードからバスで5時間ほどの距離に位置します。

概要

人口2千人ほどのグチャに、国内外から30万人を超える人々が訪れる大規模な音楽祭です。参加できるバンドは限られており、事前に予選が行われます。音楽祭は、金曜日の開会コンサート、土曜日の夜の祝賀会、日曜日の審査会の3部構成となっています。

金曜日のコンサートは、音楽祭会場の入り口で行われ、前年の優勝バンドが3曲を演奏します。また、伝統衣装を身にまとった民族舞踊家たちが、コロやオロといった伝統的な踊りを披露し、祭りの幕開けを飾ります。

歴史

グチャは、このトランペット音楽祭によって国際的な知名度を得るようになりました。ドラガチェヴォ地方の人々にとってトランペットは特別な楽器であり、その愛着は2世紀にも及ぶ歴史の中で育まれてきました。

1831年にミロシュ・オブレノヴィッチ大公が軍楽隊の結成を命じたことがきっかけとなり、トランペットは木管楽器に代わってセルビアの町に深く根付くようになりました。

トランペットはセルビアにおいて様々な場面で演奏される楽器です。土着の音楽から、高速の円舞であるコロ、行進曲、そしてセルビア南部の特徴的なチョチェクなど、演奏される曲は多岐にわたります。洗礼式や結婚式、スラヴァ（家族の守護聖人を祝う祭）、兵士の送別会、国家行事、教会行事、収穫祭、葬儀など、人生の様々な節目でトランペットの音色が響き渡ります。セルビアのトランペット演奏はやがて国外にも知られるようになり、多くの人々を魅了してきました。

音楽祭の変遷

第1回のドラガチェヴォ・トランペット奏者の集いは、1961年10月16日に聖ガウリイル・ミハイル聖堂の庭で開催されました。当初は小規模なものでしたが、徐々に規模が拡大し、トランペット奏者だけでなく、セルビア国外からも演奏者や観客が集まるようになり、大規模な祭へと発展を遂げました。

2001年の大会では、ボバン・マルコヴィッチが史上初めて全ての審査員から最高得点を獲得しました。また、ユーゴスラビア王国の皇太子妃カタリナや、当時のセルビア首相ゾラン・ジンジッチも観客として訪れました。

2006年の大会では、首相のヴォイスラヴ・コシュトニツァがグチャを訪れ、祝辞を述べています。

2007年の大会では、8月10日にトランペット音楽とバルカン民俗音楽で知られるゴラン・ブレゴヴィッチによるコンサートが開催され、祭りを盛り上げました。

グチャ・トランペット音楽祭は、セルビアの伝統音楽と文化を世界に発信する重要なイベントとして、今後も多くの人々を魅了し続けるでしょう。

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