ドラキュラ血のしたたり

ドラキュラ血のしたたり（Twins of Evil）

『ドラキュラ血のしたたり』は、1972年7月26日に公開されたイギリス製のホラー映画で、アメリカでは『Twins of Dracula』というタイトルで知られています。この映画は、ハマー・フィルム・プロダクションとランクフィルムによって製作され、CICが配給を担当しました。日本においても同年の7月に劇場公開が行われました。

映画の主演には、ヴァン・ヘルシング役で名を馳せたピーター・カッシングが名を連ねていますが、実際にはブラム・ストーカーの小説『吸血鬼ドラキュラ』とは直接的な関係はありません。そして、ドラキュラ伯爵も本作には登場しないことが特徴です。

あらすじ

物語は16世紀の英国が舞台です。孤児である美しい双子の姉妹、マリアとフリーダは、厳格な清教徒であり、魔女狩り集団「兄弟団」のリーダーでもある叔父、グスタフの庇護を受けています。フリーダは叔父の厳格な態度にうんざりし、彼から脱出する方法を模索します。そんな中、彼女は邪悪な黒魔術を駆使するカルンシュタイン伯爵に心を奪われます。カルンシュタイン伯爵は、堕落しているものの国王からの信頼も厚く、兄弟団の手が届かない存在です。

伯爵は村の少女を生贄に、女吸血鬼ミアカーラを召喚し、自らも吸血鬼へと変貌を遂げます。この流れの中で、フリーダの血を吸い吸血鬼にしてしまいます。その間に、姉のマリアは若い教師アントンと恋に落ちる運命にあります。

ある晩、フリーダは兄弟団に襲い掛かりますが、逆に叔父グスタフに捕らえられてしまいます。それを知った伯爵は、マリアを誘拐し、フリーダと入れ替える策略を巡らせます。アントンは、マリアに会いに城へ向かうものの、フリーダになりすました彼女に誘惑されます。しかし、アントンは彼女が鏡に映らないことに気づき、女吸血鬼のフリーダを十字架を使って撃退し、無事にマリアを救出します。

その後、グスタフはアントンから吸血鬼の弱点を教わり、兄弟団と共に伯爵の城に攻め込みます。しかし、伯爵とフリーダはマリアを盾にして逃げようとします。グスタフは果敢に伯爵に挑みますが、逆に返り討ちに遭ってしまいます。最終的に、アントンの槍によって伯爵は心臓を貫かれ、腐り落ちていきます。その後、アントンとマリアは愛を結び、一緒に未来を歩むことになります。

スタッフおよびキャスト

この映画の製作にはハリー・ファインやマイケル・スタイルが関わっており、監督はジョン・ハウ（ハフ）です。脚本はチューダー・ゲイツ、撮影はディック・ブッシュが担当しました。音楽はフィリップ・マーテルが手がけていますが、一部の音楽はハリー・ロビンソンによるものとも考えられています。

主なキャストには以下のような人物がいます:

• - グスタフ・ヴァイル（演：ピーター・カッシング）: 厳格な清教徒で、姉妹の叔父。
• - ディートリッヒ（演：デニス・プライス）: 兄弟団のメンバー。
• - マリア（演：マリー・コリンソン）: 美しい双子の姉妹で、妹のフリーダとは対照的に貞淑。
• - フリーダ（演：マドレーヌ・コリンソン）: 未熟で奔放な双子の妹。
• - カルンシュタイン伯爵（演：ダミアン・トーマス）: 黒魔術に耽溺し、自らも吸血鬼となる。
• - ミルカーラ伯爵夫人（演：カチャ・ワイエス）: 墓場から蘇る女吸血鬼。

このことから、『ドラキュラ血のしたたり』はただの吸血鬼映画ではなく、姉妹の運命と愛、そして厳しい運命に立ち向かう物語が描かれた非常に興味深い作品であると言えるでしょう。

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