ドラゴンクエスト ヴァーチャルバトラー仁

ドラゴンクエスト ヴァーチャルバトラー仁

概要

『ドラゴンクエスト ヴァーチャルバトラー仁』は、御茶まちこ氏によって執筆された漫画作品です。1997年4月号から1998年6月号にかけて、エニックス（現スクウェア・エニックス）の『月刊少年ギャグ王』で連載されました。当時小学生を中心に人気を博した『ドラゴンクエストバトルえんぴつ』を題材としていますが、物語の中心となるのは、モンスターを実体化させて戦う『ドラゴンクエストヴァーチャルバトルペンシル』という、異なるゲームシステムです。そのため、バトルえんぴつは物語の冒頭で少し触れられるのみで、作品全体における印象は薄くなっています。しかし、作中では『ヴァーチャルバトルペンシル』は『バトルえんぴつ』を進化させたゲームとして位置づけられています。

舞台は20世紀末から21世紀初頭の東京。他のドラゴンクエスト漫画がゲームの世界観を踏襲していることが多い中、本作は現実世界を舞台としている点が大きな特徴です。担当編集は、現在の『月刊少年ガンガン』編集長である松崎武吏氏でした。

ドラゴンクエストヴァーチャルバトルペンシル

本作の核となるゲーム『ドラゴンクエストヴァーチャルバトルペンシル』は、特殊な装置を用いてドラゴンクエストのモンスターを実体化させ、操って戦うゲームです。モンスターのデータが記録された鉛筆型シリンダー「バトルペンシル（バトペン）」をシステムにセットすることで、モンスターを実体化できます。プレイヤーである子供たちは、脳波を伝えるヘッドギアを装着し、精神力でモンスターを操ります。これを作中では「シンパサイズ」と呼び、プレイヤー自身を「ヴァーチャル・バトラー（V・バトラー）」と呼んでいます。各モンスターには専用のバトルペンシルが1本のみ存在します。

バトルは「バトル・オン」の合図で開始。モンスターの種族やV・バトラーの能力に応じて、HP、MP、攻撃力、守備力、素早さが決定され、相手のHPを0にすれば勝利となります。『ドラゴンクエスト』シリーズや『バトルえんぴつ』に見られるターン制ではなく、参加モンスターはリアルタイムで行動し攻撃できます。原作の呪文や特技も使用可能で、原作を超えた戦術も可能です。例えば、火の息の温度差を利用した体当たりや、呪文でつららを落として攻撃するなど、創造的な戦いが展開されます。

バトルを重ねることでモンスターのレベルが上がり、ステータスが向上します。「シンパサイズ」が極限に達すると、一時的にレベルアップし、強力な特技を使用できることもあります。しかし、精神力を使うため、プレイヤーへの負担も大きく、大きなダメージを受けると精神的なショックで気を失う、最悪の場合記憶喪失に至る可能性もあります。そのため、バトルペンシルは公認チームの選手のみが使用でき、公式以外のバトルは禁止されています。これはチーム間のトラブル防止のためでもあります。

なお、モンスターの実体化が立体映像なのか物質化なのかは明確にされていません。モンスターが現実の物質に干渉するシーンがある一方、「立体映像」と表現されるシーンもあります。

ストーリー

『ドラゴンクエストバトルえんぴつ』全国大会で優勝した円仁は、会場で実体化したキメラを目撃し、『ドラゴンクエストヴァーチャルバトルペンシル』の存在を知ります。我楽多博士からバトルペンシルを受け取った仁は、V・バトラーとして活躍を始めます。

登場人物

ここでは主要な登場人物について説明します。各キャラクターの使用モンスター、そのクラス、そして能力や個性について触れていきます。呪文や特技の詳細については、『ドラゴンクエスト』シリーズの資料を参照ください。

円 仁（まどか じん）：主人公。好奇心旺盛でガッツのある少年。スライム、スライムナイトを使用。
我楽多博士（がらくたはかせ）：我楽多工房の責任者。お気楽な老人だが、仁の才能を見抜く。
我楽多 いろは（がらくた いろは）：我楽多博士の孫娘。我楽多工房のマネージャー的存在。
鶴田 チャカ（つるた チャカ）：当初はチームX所属のV・バトラー。キメラ、キメイラを使用。
阿田 慎吾 / アダ（あだ しんご）：仁のクラスメイト。どろ人形を使用。
鳴戸 克美 / ナルシー（なると かつみ）：仁のクラスメイト。リップスを使用。
チームX：300名ものV・バトラーを抱える大規模チーム。
伊吹（いぶき）：チームXの創設者。野心的な人物。
黒羽 京（くろは きょう）：チームXのパラディン。キラージャックを使用。
その他：妃頭 剛、邸野 次郎、安売 正油、猿野 勝、湖川 まりも、萩吉兄弟、塚 平（クリス）、愛犬ハウスなど、個性豊かなキャラクターたちが登場します。

コミックス

『ドラゴンクエスト ヴァーチャルバトラー仁』は、エニックス（現スクウェア・エニックス）より全3巻が刊行されました。

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