ドラゴン・タトゥーの女

原作小説『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』

スティーグ・ラーソンが2005年に発表した『ミレニアム』三部作の第一作です。この物語は、雑誌『ミレニアム』の発行責任者であるミカエル・ブルムクヴィストと、卓越した調査能力を持つリスベット・サランデルという二人の主人公を中心に展開します。

物語は、ミカエルが名誉毀損で訴えられ、窮地に立たされるところから始まります。彼は、かつてスウェーデン有数の財閥一族であるヴァンゲル家で起こった、36年前の少女ハリエット・ヴァンゲルの失踪事件の真相を解明するという依頼を受けます。一方、リスベットは、並外れたハッキング能力と記憶力を持ちながらも、社会的な枠組みに馴染めない複雑な過去を抱えています。彼女は、ミカエルの調査を助けるために雇われ、二人は協力して事件の真相に迫ります。

この小説は、ミステリーとしての面白さはもちろんのこと、社会的なテーマも深く掘り下げています。特に、権力と腐敗、女性に対する暴力といった問題が、物語の重要な要素として描かれています。ラーソンの筆致は、読者を一気に物語の世界に引き込み、息もつかせぬ展開と意外な結末で読者を魅了します。

映画版『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』（2009年 スウェーデン）

2009年には、この原作を基にしたスウェーデン映画が公開されました。監督はニールス・アルデン・オプレヴ。ミカエル役をミカエル・ニクヴィスト、リスベット役をノオミ・ラパスが演じています。

スウェーデン映画版は、原作の雰囲気を忠実に再現し、北欧特有の暗く重厚な世界観が見事に表現されています。特に、ノオミ・ラパスの演じるリスベットは、原作のイメージをそのまま具現化したような迫力があり、多くの観客を魅了しました。この映画は、第64回英国アカデミー賞で外国語映画賞を受賞し、国際的にも高い評価を得ました。

映画版『ドラゴン・タトゥーの女』（2011年 ハリウッド）

2011年には、デヴィッド・フィンチャー監督によってハリウッド版の映画も製作されました。ミカエル役にはダニエル・クレイグ、リスベット役にはルーニー・マーラが起用されています。

ハリウッド版は、フィンチャー監督のスタイリッシュな演出が特徴的で、原作の複雑なプロットをよりスリリングに描いています。特に、ルーニー・マーラの演じるリスベットは、原作の持つダークな魅力をさらに増幅させ、多くのファンを獲得しました。この映画は、第84回アカデミー賞で編集賞を受賞しており、技術的な面でも高い評価を得ています。

まとめ

『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』は、原作小説の優れたストーリーテリングはもちろんのこと、映像作品としても異なる魅力を持っています。スウェーデン版は原作の雰囲気を忠実に再現し、ハリウッド版はスタイリッシュな演出で観客を魅了します。両作品を見比べることで、それぞれの映像表現の特色をより深く理解することができるでしょう。いずれも、ミステリーファンだけでなく、社会派ドラマを好む人々にも強くお勧めできる作品です。

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