ドラゴン危機一発'97

ドラゴン危機一発'97

『ドラゴン危機一発'97』（原題: 戰狼傳説、英題: THE NEW BIG BOSS）は、1997年に公開された香港のアクション映画で、ドニー・イェンが制作・監督・アクション監督・主演を務めています。この映画のキャッチコピーは「ブルース・リーに捧ぐ、新たなるドラゴン伝説」です。映画は、ブルース・リーが主演した『ドラゴン危機一発』（1971年）とは全くの別作品で、ドニー・イェンとの関係はありません。また、本作に続いて1998年に公開された『新・ドラゴン危機一発』も同様に、ブルース・リーの作品とは無関係です。

制作背景

ドニー・イェンは、1995年に放送されたテレビドラマ『精武門』の大ヒットを受けて映画制作の道に進むことになりました。『ドラゴン危機一発'97』は、彼が「子彈製作有限公司」で撮影した初の監督作品です。香港での原題は『戰狼傳説』ですが、映画のタイトルは当初、ブルース・リーの作品からインスパイアを受けた形で『新唐山大兄』や『The New Big Boss』が使われました。この背景から、日本での配給を担当した江戸木純がドニーを「第二のブルース・リー」として宣伝するために邦題を選定しました。

2015年には、東京シネマート六本木でHDリマスター版がリバイバル上映され、その際には映画館の閉館を記念する作品としても特別な位置付けがなされました。この上映は、1997年に香港と同時公開された東京池袋シネマ・ロサでの単館上映以来、18年ぶりとなるものでした。

登場人物

本作には魅力的なキャラクターが登場します。まず、主人公であるファン・マンヒンは記憶喪失の格闘家で、彼を演じるのはドニー・イェンです。ヒロインのウェイ・イーは彼の恋人であり、カルメン・リーが演じています。彼女はマンヒンの幼馴染で、彼を支える重要な存在です。さらに、若者のワイはお調子者で、戦争で両親を失った孤児ですが、村人たちの愛情を受けて育ちます。

物語には、様々な敵キャラクターも登場します。「鎖の男」や「眼帯の男」、「フードの男」など、個性的なキャラクターがマンヒンと対峙します。特に「ビッグウルフ」は盗賊団「7人の狼」のボスで、マンヒンを狙う強敵として物語のクライマックスを盛り上げます。

あらすじ

物語は、村での喧嘩から始まります。ワイが悪ガキ仲間たちと騒いでいるところに、マンヒンという男が現れる。彼は記憶を失ってはいるものの、恋人に再会するための目的を持っています。その道中、彼は村を襲う山賊たちに立ち向かい、一人で彼らを撃退してしまいます。

マンヒンは自らの過去と向き合いながら、村人やウェイ・イーとの絆を深めていきます。彼の戦闘スタイルや哲学、そして個々のキャラクターの背景が交差し、物語が進んでいきます。特に、ウェイ・イーとの再会は感動的で、彼女はマンヒンの心の支えとなります。

物語の終盤、マンヒンはビッグウルフと対決し、彼の本当の過去が明らかになります。また、若者ベンとのやり取りを通じて、勝敗や優劣に対する哲学を問われる場面が印象的です。

ソフトウェアリリース

本作は1998年にVHS版、2000年にDVDがリリースされ、2015年にはHDリマスター版が新たにブルーレイとDVDとして発売されました。特に、ブルーレイにはスタントマンたちによるオーディオコメンタリーが収録されています。

『ドラゴン危機一発'97』は、ドニー・イェンの才能が光り、アクション映画としてだけでなく、深い人間ドラマとしても評価される作品です。

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