ドリフのビバノン音頭

ザ・ドリフターズ（以下ドリフ）の楽曲「ドリフのビバノン音頭」は、同グループの代表曲「いい湯だな」を基にした替え歌として有名です。軽快なテンポと、ドリフメンバー独特のユーモラスなパフォーマンスで、長年にわたって多くの人々に愛されてきました。

この楽曲は、1973年6月10日にTBS系『8時だョ!全員集合』のエンディングテーマとして誕生しました。作詞は上野玲児氏と松原雅彦氏、編曲はたかしまあきひこ氏が担当し、シングルレコードとして発売されました。放送時間に合わせて演奏ペースが調整されるなど、番組の一部として深く根付いていました。レコード版には、オリジナル曲と同じテンポのバージョンも収録されています。特徴的なのは、最後の後奏部分に加藤茶さんのアドリブセリフ（「宿題やれよ！」「夜更かしすんなよ！」など）が挿入されている点です。このアドリブは、番組の雰囲気を盛り上げる重要な要素でした。

その後、1977年からはフジテレビ系『ドリフ大爆笑』でも、アレンジ版「さよならするのはつらいけど」としてエンディングテーマに採用されました。番組では、ドリフメンバーが歌って踊る映像が毎回流され、視聴者を楽しませました。当初はコント衣装でのパフォーマンスでしたが、後に専用の映像が制作され、数年に一度更新されました。特に1983年制作のバージョンは、2003年まで実に20年間使用されるほど長く愛されました。

「ドリフのビバノン音頭」は、単なる番組のエンディングテーマにとどまらず、様々な場面でその存在感を示しました。2001年の『第52回NHK紅白歌合戦』では、ドリフの紅白初出場を飾る「ドリフのほんとにほんとにご苦労さんスペシャル」メドレーに含まれ、多くの視聴者に感動を与えました。また、多くのアーティストにも影響を与え、1991年には嘉門タツオ氏が替え歌を制作、1997年には日本石油（後の新日本石油）のCMソングとしてドリフ自身による替え歌が使用されました。2007年には江崎グリコのCM、2012年には味の素のCMでも、本楽曲をモチーフにしたアレンジが採用されました。さらに、2013年にはAAAイベントでサザンオールスターズがカバーするなど、その人気は世代を超えて広がり続けています。

さらに、レコード版にはドリフメンバーによるミニコントが収録されており、楽曲自体の魅力をさらに高めています。2010年には、オリジナル曲「いい湯だな」を歌ったデューク・エイセスと加藤茶さんがテレビ東京『にっぽんの歌』で共演し、「いい湯だな」に続いて「ドリフのビバノン音頭」を一緒に歌唱するなど、世代を超えたコラボレーションも実現しています。

「ドリフのビバノン音頭」は、単なる一曲ではなく、日本の音楽史、そしてテレビ史において重要な位置を占める楽曲といえるでしょう。その軽快なメロディー、ユーモラスな歌詞、そしてドリフメンバーのパフォーマンスは、多くの人々の心に深く刻まれています。これからも、多くの人々に愛され、歌い継がれていくことでしょう。

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