ドリームガールズ

ドリームガールズ (Dreamgirls)

『ドリームガールズ』は、ヘンリー・クリーガー作曲、トム・アイン脚本・作詞によるブロードウェイ・ミュージカルです。1960年代のアメリカ音楽界を舞台に、一攫千金を夢見る若い女性グループ「ザ・ドリームス」が、スターダムを駆け上がっていく過程を描いています。

作品概要

本作は、ダイアナ・ロスとスプリームス、ジェームス・ブラウン、ジャッキー・ウィルソンといった、R&Bアーティストたちのショービジネスでの成功を基にしています。特に、モータウン・サウンドを彷彿とさせる音楽と、ダイアナ・ロスとスプリームスの軌跡を重ね合わせたストーリー展開が特徴です。

1981年12月20日にインペリアル・シアターで開幕し、1982年のトニー賞ではミュージカル作品賞を含む13部門にノミネートされ、6部門を受賞しました。4年間で1,522回の公演を行い、1985年8月11日に閉幕。2006年には、ドリームワークスとパラマウント映画によって映画化され、ジェニファー・ハドソン、ビヨンセ、アニカ・ノニ・ローズ、ジェイミー・フォックス、エディ・マーフィらが出演しました。

あらすじ

第1幕: 1960年代

1962年、シカゴのガール・グループ、ザ・ドリーメッツは、ニューヨーク・ハーレムのアポロ・シアターで開催される「アマチュア・ナイト」に出演を目指します。メンバーは、ふくよかなリード・シンガーのエフィ・ホワイト、親友のディーナ・ジョーンズ、ロレル・ロビンソンの3人。エフィの兄C.C.が作曲した『Move (You're Steppin' on My Heart)』を歌いますが、コンテストでは落選。しかし、そこで中古車販売員のカーティス・テイラー・ジュニアと出会い、彼はドリーメッツのマネージャーとなります。

カーティスは、人気R&Bスターのジェイムズ・アーリー（愛称サンダー）にドリーメッツをバックアップ・シンガーとして雇わせることに成功。しかし、カーティスはジェイムズに、伝統的なR&Bからポップ市場を狙うべきだと進言。C.C.がジェイムズとドリーメッツのために作曲した『Cadillac Car』はポップ・チャートでヒットしますが、白人歌手のカバーにその座を奪われます。カーティスは、次のシングル『Steppin' to the Bad Side』をDJに賄賂を贈り、ポップ・チャートで大ヒットさせます。

エフィとカーティスは恋仲になりますが、既婚者のジェイムズがロレルと不倫するなど、グループの関係は複雑化していきます。カーティスはジェイムズをポップ歌手として売り出す一方、ドリーメッツを「ザ・ドリームズ」に改名し、ポップな音楽性とルックスで売り出そうとします。リード・シンガーはエフィからディーナに交代し、エフィは憤慨。新生ザ・ドリームズは成功を収め、ディーナはスターとしての名声を高めますが、エフィは神経質になっていきます。

1967年、グループは「ディーナ・ジョーンズ・アンド・ザ・ドリームズ」としてラスベガスに初登場。エフィは病気で休演しますが、カーティスは彼女が公演を妨害していると考え、新人歌手ミシェル・モリスを代役として出演させます。エフィはカーティスとメンバーたちと対峙しますが、傷心の中、グループを去ります。

第2幕: 1970年代

1972年、ディーナ・ジョーンズ・アンド・ザ・ドリームズは全米で最も成功したガール・グループとなります。ディーナはカーティスと結婚し、C.C.はミシェルと交際。ジェイムズはヒット曲に恵まれず、カーティスは彼の再生に興味を示すものの、ディーナは女優になることを望んでいます。C.C.は、カーティスが自分の曲を編曲することに不満を募らせます。

民主党の資金集めイベントで、ディーナ・ジョーンズ・アンド・ザ・ドリームズとジェイムズ・アーリーは共演。ロレルはジェイムズに不倫関係を妻に明かすよう迫りますが、ジェイムズは舞台で動揺し、予定の曲を歌わずにファンクの曲を歌い、ズボンを下ろしてしまいます。カーティスはジェイムズを解雇し、ロレルも彼との関係を終わらせます。

マーティはC.C.とエフィを仲直りさせ、エフィはC.C.の『One Night Only』をオリジナルのバラードでレコーディング。しかし、カーティスはディーナ・ジョーンズ・アンド・ザ・ドリームズ版を発売し、DJを買収してエフィ版をかけさせないようにします。エフィ、C.C.、マーティはカーティスの陰謀を知り、法的訴訟を起こすと脅します。ディーナはエフィと和解し、カーティスのもとを離れる決意をします。

エフィの『One Night Only』は1位となり、ザ・ドリームズは解散。ディーナは映画界に進みます。ザ・ドリームズの解散コンサートで、エフィが舞台に合流し、4人のドリームズが最後の曲を歌います。

スプリームスとの類似性

本作は、スプリームスをモデルにしたと言われていますが、製作陣は法的訴訟を避けるため、その関連性を否定しています。しかし、グループ名、メンバー構成、リード・シンガーの交代、恋愛関係など、スプリームスと類似する点が多数存在します。

映画化

2006年には映画化され、ジェニファー・ハドソンがアカデミー助演女優賞を受賞するなど、高い評価を得ました。映画版では、スプリームスやモータウンへの類似性がより強調され、ジェイムズの死が追加されるなどの変更が加えられています。

『ドリームガールズ』は、華やかなショービジネスの世界を舞台に、夢、愛、友情、そして成功と挫折を描いた感動的なミュージカルです。

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