ドルチェ (小説)

誉田哲也氏の手がけた推理小説の短編集『ドルチェ』は、警視庁練馬署強行犯係に所属する42歳の女性刑事、魚住久江を主人公としたシリーズの記念すべき第1作として位置づけられています。

概要

本作は、新潮社発行の文芸誌『小説新潮』に掲載された複数の短編を集めた作品集です。当初、単行本は計6編の短編で構成され、2011年10月に新潮社より刊行されました。その後、2014年6月には新潮文庫版が登場。さらに2020年5月に光文社文庫版が発売された際には、これまでの収録作に加え、新たな短編が一編追加されています。

収録作品

本書に収録されている短編は以下の通りです（初出はいずれも『小説新潮』）。

袋の金魚（2006年10月号）
ドルチェ（2007年10月号）
バスストップ（2008年5月号）
誰かのために（2008年11月号）
ブルードパラサイト（2009年11月号）
愛したのが百年目（2010年11月号）
弱さゆえ（2014年2月号）※光文社文庫版にのみ収録

テレビドラマ版

『ドルチェ』は、2012年から2013年にかけ、フジテレビ系列の『金曜プレステージ』枠で2度にわたりテレビドラマとして放送されました。主演は松下由樹氏が務め、単なる謎解きに留まらず、事件に関わる人々の「心」に深く寄り添いながら真相に迫る人間ドラマとしての側面が強く描かれています。

タイトルと放送回

第1作：『ドルチェ』（2012年放送）
第2作：『強行犯係・魚住久江〜ドルチェ2』（2013年放送）

キャスト

ドラマ版では、主人公の魚住久江をはじめ、警視庁練馬北警察署強行犯係の個性豊かなメンバーが登場します。

魚住久江（演：松下由樹）：巡査部長。かつて警視庁捜査一課に所属していた経験を持ち、復帰の打診も受けていますが、所轄の現場で事件関係者の心に寄り添い、事件の糸を解きほぐす捜査スタイルを貫くため、これを固辞し続けています。独身で喫煙家という設定です。
原口昌哉（演：戸次重幸）：巡査長。捜査一課への異動を強く希望しています。
峰岸学（演：馬場徹）：巡査。春日町交番から配属された新人刑事で、久江を深く慕っています。甘党という一面も。
里谷俊彦（演：菅田俊）：巡査部長。経験豊富なベテラン刑事です。
宮田洋平（演：ベンガル）：係長。

また、警視庁捜査一課からは、久江との間に強い信頼関係を持ち、彼女の捜査一課復帰を願う金本健一主任（演：田辺誠一）らが登場し、物語に関わります。

スタッフ

ドラマの制作には、原作の誉田哲也氏をはじめ、脚本に松本美弥子氏、監督に大谷健太郎氏が名を連ねています。主題歌にはmoumoonの「バニタス」が使用されました。

このシリーズは、主人公・魚住久江の人間味あふれる捜査手法と、練馬署のチームワークを描きながら、複雑な事件の真相とその背景にある人間の感情に深く切り込む点が特徴です。テレビドラマ化によって、さらに多くの視聴者にその魅力が届けられました。

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