ドルフィン (AGSS-555)

ドルフィン (USS Dolphin, AGSS-555)

ドルフィン（USS Dolphin, AGSS-555）は、アメリカ海軍におけるユニークな存在の潜水艦で、ディーゼル・エレクトリック方式により設計された深度潜航実験開発潜水艦です。他の同型艦は存在せず、艦名は海洋生物のイルカに由来しており、これは海軍におけるドルフィンと名付けられた艦としては7隻目となります。

1968年に正式に就役し、2007年までの長い艦歴を誇ります。この38年間は、アメリカ海軍の潜水艦としては最も長い運用期間であり、最後の通常動力型潜水艦としての重要な役割を果たしました。特に、1969年8月に記録した3,000フィート（914メートル）の試験深度は、当時の戦闘艦としての新たな世界記録を打ち立てました。

設計および運用

ドルフィンの艦体は1964年12月19日にメイン州のポーツマス海軍造船所で起工され、1968年の就役に向けた設計段階で革新的な技術が取り入れられました。艦は、海軍の技術者による入念な建造プロセスを経て完成し、その艇名の発表を願って、ダニエル・イノウエ上院議員の妻による命名が行われました。

新型ソナーシステムの導入が行われたのは1990年代末で、これにより艦の性能はさらに向上し、海軍全体に新たな技術が配備されることとなります。

事故

しかし、その後の運用においてドルフィンは大きな危機に直面します。2002年5月21日、カリフォルニア州サンディエゴの沖合で、航行中のドルフィンは浮上し、バッテリー充電を行っていたところで事故に遭遇しました。魚雷発射管の密閉ドアが故障し、浸水が始まります。この浸水は、強風による10から11フィートの波と相まって、約70から85トンもの海水が艦内に流入し、緊急事態を引き起こしました。

艦の主任機関士は迅速に行動し、沈んだ艦のポンプ室で水の中に飛び込みました。90分後、艦長は全員の退艦を命じました。幸いにも近隣の海洋研究船が素早く応答し、乗組員および民間人の安全な移送が行われました。その際、二名がヘリコプターによって救助されましたが、乗員たちの迅速な行動により、艦の状態は安定化しました。

その後、艦は牽引され、修理のためにサンディエゴに戻されることとなりました。過去の事故としては1988年のボーンフィッシュ（USS Bonefish, SS-582）による放棄事件があり、この時は火災によって3名が死亡するという悲劇的な結果を伴っていました。

退役

ドルフィンはその後3年半に及ぶ修理が行われ、この修理には約5,000万ドルもの費用がかかりました。2005年の夏には海上公試を完了し、再任務に復帰しましたが、2006年中旬に海軍は退役を決定。最終的に2006年9月22日に正式に退役し、サンディエゴの基地に係留されました。その後、2007年1月15日に除籍され、2008年にはサンディエゴ海事博物館に移管され、展示物の一つとして公開されることとなりました。2009年には一般公開が始まり、海軍の歴史において特別な位置を占める存在となっています。

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