ドルフィン級潜水艦

ドルフィン級潜水艦について

ドルフィン級潜水艦はイスラエル国防軍によって運用される通常動力型の潜水艦で、2000年までに就役したドルフィン1級と、2010年代から配備されたドルフィン2級が含まれます。このドルフィン級は、イスラエルにとって高額な軍事装備であり、戦略的には核抑止力を担う可能性も秘めています。

開発の経緯

ドルフィン1級の導入

イスラエルは、従来から少数の潜水艦を保有していましたが、80年代後半から新型潜水艦の導入を模索するようになりました。最初はドイツでの建造が計画されましたが、費用が高すぎるとの理由でキャンセル。湾岸戦争を受けて、再度ドルフィン級の導入が検討されることになりました。この戦争で、イスラエルはイラクからのミサイル攻撃を受け、その際に報復攻撃を確実に行うための潜水艦のニーズが浮き彫りとなりました。特に、イラクの化学兵器開発にドイツ企業が関与していたことが判明したため、ドイツ政府はイスラエルに対し、潜水艦建造に協力する意向を示しました。その結果、イスラエルは有利な条件で潜水艦を取得できることになりました。

ドルフィン2級の発展

ドルフィン1級の成功を受けて、2006年にはさらなる2隻のドルフィン2級が注文されました。この新型潜水艦は、従来型よりも大きく、最先端のAIP（空気独立推進）機関を搭載しています。ドイツ政府も建造費の一部を負担し、国際的な協力体制が整いました。2011年には6隻目の発注も予定され、さらに強化された戦力が期待されました。2016年には、新型ソナーの搭載が行われ、より高性能な探知能力が備わりました。

設計の特徴

ドルフィン1級はドイツの209型を基に設計されていますが、そのサイズは212A型を超えています。AIP機関は未搭載で、従来のディーゼル・エレクトリック方式を採用しています。外観はエメラルドグリーンの塗装が施されており、デザインにもこだわりがあります。武装は、533mmと650mmの魚雷発射管を装備しており、攻撃能力が高いとされています。一方、ドルフィン2級は船体が拡張され、排水量が増加したほか、AIP機関を搭載しており、長期にわたる作戦能力が求められています。

運用状況

ドルフィン級潜水艦は、ハイファ海軍基地に配備されており、従来の潜水艦の運用とは異なる目的で運用されると外部から見られています。特に、これらの潜水艦が核弾頭を搭載した巡航ミサイルを運用しているとの推測もあります。ポップアイ改良型の水中発射型ミサイルが代表的な例で、これを使ってイスラエルは遠隔からの核報復能力を持つとされています。

ドルフィン級の導入によって、以前は重要度が低かったイスラエル海軍が戦略的に重要な地位を確立しました。しかし、イスラエル政府は自国の核兵器保有の有無や潜水艦に関する詳細情報を公表せず、これに関する情報は、主に研究機関や報道に頼らざるを得ないのが現状です。

まとめ

ドルフィン級潜水艦は、イスラエルの海洋戦力を向上させ、国防戦略における重要な役割を果たしています。その技術力や可能性は、他国からも注目されており、今後の展開に注視が必要です。

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