ドレスデン県

ドレスデン県：東ドイツの行政区画とその変遷

ドレスデン県は、ドイツ民主共和国（東ドイツ）時代に存在した14の県の一つであり、県都はドレスデンでした。その地理的位置、歴史的背景、そして東西ドイツ統一後の変遷について詳しく解説します。

地理

ドレスデン県は、東ドイツの南東部に位置していました。東部はポーランドとの国境、南部はチェコスロバキア（現在のチェコ）との国境に接していました。また、北部ではコットブス県、西部ではライプツィヒ県およびカール＝マルクス＝シュタット県と隣接していました。この地理的な特徴が、その後の歴史に大きく影響を与えることになります。

歴史

東ドイツ成立初期

1949年に東ドイツが成立した当初は、西ドイツと同様に州による連邦制が採用されていました。ドレスデン県となる地域は、ザクセン州に属していました。当時のザクセン州は、戦前の州と領域が若干異なり、北東端には旧プロイセン自由州ニーダーシュレージエン県から分割された地域（オーデル・ナイセ線以西のドイツ領）が編入されていました。ドレスデン県はこの地域を引き継ぐ形となりました。

中央集権化と県の成立

1952年、東ドイツでは州が廃止され、中央集権体制へと移行しました。これにより、事実上ドイツ社会主義統一党の一党独裁下で計画経済が推進されることになりました。全国は東ベルリンを除く14の県に分割され、統治が行われました。この過程でドレスデン県が成立しました。この行政区画の変更は、東ドイツの政治・経済体制を反映したものでした。

東西ドイツ統一とその後

1990年の東西ドイツ統一に伴い、ドレスデン県は解体され、連邦制を採用するドイツ連邦共和国（旧西ドイツ）の政治体制に合わせて再編されました。旧ドレスデン県の領域は、復活したザクセン州の一部となりました。ほぼ同じ領域にドレスデン行政管区（Regierungsbezirk Dresden）が新たに設けられましたが、これは単なる行政上の地域区分であり、東ドイツ時代のような地方自治体としての権能は有していませんでした。2012年にはこの行政管区も廃止され、ドレスデン県という行政区画は完全に姿を消しました。

まとめ

ドレスデン県は、東ドイツの歴史の中で重要な役割を果たした行政区画でした。その成立から解体、そして再編まで、東ドイツの政治・経済体制の変化を色濃く反映しています。現在ではその名前こそありませんが、その歴史はザクセン州の一部として受け継がれています。

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