ドレッド・ツェッペリン

ドレッド・ツェッペリンは、レッド・ツェッペリンの楽曲をレゲエスタイルで演奏するという、他に類を見ないユニークなコンセプトを持つアメリカのバンドです。その特徴は、体重300ポンドのエルビス・プレスリーそっくりさんがボーカルを務めるという点にあります。彼らは長年の活動の中で、レッド・ツェッペリンの楽曲だけでなく、エルビス・プレスリー、ボブ・マーリー、ヤードバーズなどの楽曲もレゲエ調でカバーしています。

バンドの誕生

ドレッド・ツェッペリンの核となったのは、ザ・プライム・ムーヴァーズというバンドのメンバーでした。ベーシストのPut-Monことゲイリー・プットマン、ドラマーのチーズことカート・リヒター、ギタリストのジャー・ポール・ジョーことジョセフ・"Severs"・ラムゼイの3人は、カリフォルニア州パサデナ出身で、ザ・プライム・ムーヴァーズとして活動していました。ザ・プライム・ムーヴァーズは1986年にアイランド・レコードと契約し、イギリスでシングル「On The Trail」と「Dark Western Night」がヒットしました。

1989年にザ・プライム・ムーヴァーズとしての活動を終えた後、ジャー・ポール・ジョーは「ドレッド・ツェッペリン」という新しいグループの結成を思い立ちました。元のメンバー3人に加え、新たなギタリストのカール・ジャーことカール・ハーシス、そして体重300ポンドのエルビスのそっくりさんであるトーテルヴィスことグレッグ・トーテルがメンバーとして加わりました。トーテルヴィスが運転していた牛乳配達車がバンドの車に追突したことが、バンドとトーテルヴィスが出会うきっかけになったという逸話が残っています。ザ・プライム・ムーヴァーズ時代からグラフィック・アーティストとして関わっていたブライアント・フェルナンデスも、コンガ奏者エド・ツェッペリンとしてバンドに加わりました。

初期の活動と成功

ドレッド・ツェッペリンとしての最初のレコーディングは、レッド・ツェッペリンの「移民の歌」と、そのB面曲「ヘイ・ヘイ・ホワット・キャン・アイ・ドゥ」をパロディ化したものでした。ジャー・ポール・ジョーとラスタ・リ＝モーンのプロデュースで制作されたこのレコードは、バンド自身のインディー・レーベルであるバードケージ・レコードから発売され、予想をはるかに超える売り上げを記録しました。「移民の歌」の成功後、セカンド・シングル「胸いっぱいの愛を/Tour-telvis: A Bad Trip」がバードケージ・レコードからリリースされました。

1990年、ドレッド・ツェッペリンはマイルス・コープランド3世のI.R.S.レコードと契約を交わしました。ファースト・アルバム『Un-Led-Ed』は、『レッド・ツェッペリン I』や『レッド・ツェッペリン II』からのカバー曲を多く収録し、話題を呼びました。

I.R.S.レコードとの契約とその終焉

『Un-Led-Ed』の成功を受け、ドレッド・ツェッペリンはセカンド・アルバム『5,000,000**Tortelvis Fans Can't Be Wrong』をレコーディングしました。しかし、その後、ディスコ音楽のカバー集である『It's Not Unusual』を制作したものの、売り上げは振るわず、バンドはI.R.S.から契約を解除され、事実上解散状態となりました。

その後の活動

その後、オーストラリアの人気ロックバンドINXSがドレッド・ツェッペリンのファンであったことから、全米ツアーの前座を依頼され、バンドは再結成。トーテルヴィスもバンドに復帰し、アルバム『Hot & Spicy Beanburger』を制作しました。その後もメンバーチェンジを繰り返しながら、イマーゴ・レコードやクレオパトラ・レコードなどと契約し、アルバムをリリース。1995年には、キャッシュ・カウという新しい制作会社を設立し、アルバム制作やライブ活動を行いました。

2005年5月27日には、リード・シンガーのトーテルヴィスが、アリゾナ州フェニックスのバンク・ワン・ボールパークで、国家「星条旗」を歌うという栄誉に浴しました。

ドレッド・ツェッペリンは、その後もツアーを続けており、オリジナル・メンバーであるバット＝ボーイとトーテルヴィスに加え、長年のメンバーであるスパイス、ボブ・ナーリー、ジギー・ナーリー、チャーリー・ハジなどが参加しています。プットマンは、ドレッド・ツェッペリンのすべてのレコードに参加し、すべてのライブ・ショーに出演した唯一のメンバーです。2009年には、バンドは結成20周年を迎えました。

ドレッド・ツェッペリンは、レッド・ツェッペリンの音楽を愛する人々にとって、常に刺激的で予測不可能な存在であり続けています。

もう一度検索