ドロップ・タワー

ドロップ・タワーとは

ドロップ・タワー（英: drop tower）は、「ビッグドロップ（英: big drop）」とも称される、遊園地やテーマパークの象徴的なアトラクションです。巨大な垂直タワーを中心に構成され、高所からの落下によって訪れる人々にスリルと興奮を提供します。これらのアトラクションは、その高さ、一度に搭乗できる人数、ゴンドラの昇降方式、そして落下を停止させるブレーキシステムなど、機種によって様々なバリエーションが存在します。市場には標準化された設計に基づく大量生産モデルが出回っている一方で、個々の施設のために独自に設計される特注品も少なくありません。

動作の仕組み

基本的な動作原理は、乗客を乗せたゴンドラが、タワーの頂上近くまでゆっくりと引き上げられることから始まります。最高点に達すると、ゴンドラは突然解放され、重力に引かれるまま一気に垂直に落下します。この落下はまさに自由落下に近く、乗客は一瞬の無重力状態のような感覚を体験します。ゴンドラが地面に接近すると、強力な制動装置が作動し、落下速度を急激に落として安全に停止させます。機種によっては、完全に停止する前にゴンドラが数回上下にバウンドしたり、あるいは落下中にゴンドラ自体が回転するといった特殊な演出が加えられているものもあります。

利用制限と体験

ドロップ・タワーの利用にあたっては、安全上の理由から多くの場合、身長による制限が設けられています。必要な最低身長はタワーの高さや機種の特性によって大きく異なりますが、例えば、比較的小型のタワーでは95cm程度から利用できる一方、大型のアトラクションでは130cm以上の身長が必要となるのが一般的です。このアトラクションの最大の魅力の一つは、落下中に得られる独特の感覚です。一部の機種では、落下中にゴンドラを下方へ加速させるプッシュ機能が搭載されており、これにより乗客の体はシートからわずかに浮き上がり、より強い無重力感や浮遊感を味わうことができます。

主な種類と設計

ドロップ・タワーには様々な設計が存在し、特に大量生産されている代表的なものとしては、以下のようなタイプが知られています。

FlightLine Free Fall Ride
ダブルショット（空圧により2回打ち上げ）
スペースショット（空圧により上空へ打ち上げ）
スーパーショット
ターボドロップ（空圧により下方へ加速）
インタミンドロップタワー
Flash Tower（ザンペルラ製ショット＆ドロップ）
Z-Force（ザンペルラ製ショット＆ドロップ）
Hurakan Condor（複数の乗り方を組み合わせたバリアント）

これらのタイプに加え、個別のテーマパークのためにデザインされた独自のドロップ・タワーも数多く存在します。

世界の代表的な設置例

世界には数多くのドロップ・タワーが設置されており、その中でも特に有名なものをいくつか挙げます。

Big Shot（ストラトスフィア・タワー、アメリカ）: 地上約329mの高さに設置されており、ドロップ・タワーとして世界で最も高い場所に位置するアトラクションです。タワー頂上から約49m落下します。
Space Probe（ワンダーランド・シドニー、オーストラリア）
The Cliff Hanger（クリフス・アミューズメント・パーク、アメリカ）
Drop Tower（シダー・フェアが運営する複数のパーク、アメリカ）
Oh-Zone!（レイク・ウィニペソーカー、アメリカ）
Super Shot（移動遊園地などでよく見られる、アメリカ）
Volcanic Eruption（ファンタジー・アイランド、イギリス）
Apocalypse（ドレイトン・マナー、イギリス）
Detonator（ソープ・パーク、イギリス）
Tango Ice Blast（プレジャー・ビーチ・ブラックプール、イギリス）
Drop Zone（アラバマ・スプラッシュ・アドベンチャー、アメリカ）
Atmosfear（モリーズ・ピアーズ、アメリカ）
トワイライトゾーン・タワー・オブ・テラー（複数のディズニーパーク）
Scream!（シックス・フラッグス・フィエスタ・テキサス、シックス・フラッグス・ニューイングランド、アメリカ）
Dominator（ドーニー・パーク＆ワイルドウォーター・キングダム、アメリカ）
EKstreme（エンチャンテッド・キングダム、フィリピン）
Supreme Scream（ナッツベリー・ファーム、アメリカ）
Doctor Doom's FearFall（アイランズ・オブ・アドベンチャー、アメリカ）
The High Fall（ムービー・パーク・ジャーマニー、ドイツ）
Det gyldne tårn（チボリ公園、デンマーク）
UFO Adventures（九族文化村、台湾）
Acrophobia（シックス・フラッグス・オーバー・ジョージア、アメリカ）
Gyro Drop（ロッテワールド、韓国）
* ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー – ミッション:ブレイクアウト!（ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー、アメリカ）

特に、ディズニーパークに設置されている「トワイライトゾーン・タワー・オブ・テラー」やその派生形は、単なる自由落下に留まらず、上下動を繰り返したり、ストーリー性を伴ったりするなど、独特の体験を提供する例として知られています。

安全性に関する過去の事例

ドロップ・タワーは高度な安全管理の下で運行されていますが、過去には不幸な事故も発生しています。例えば、アメリカのシックス・フラッグス・ケンタッキー・キングダムで事故が発生した後、同系列の全てのタワーが一時的に運行を停止し、検査が行われました。この際、他のパークのモデルでケーブルの伸長などの問題が発見されたケースがあります。また、2012年2月24日には、ブラジルのホピ・ハリ遊園地で14歳の少女がドロップ・タワー「La Tour Eiffel」から落下し死亡するという痛ましい事故が発生しました。地元警察による調査では、乗客を固定するためのラッチ機構に機械的な故障があった可能性が示唆されています。これらの事例は、アトラクションの設計、製造、運行、保守における厳格な安全基準の遵守がいかに重要であるかを改めて示しています。

関連する概念

ドロップ・タワーは、重力による落下を利用するアトラクションという点で、「フリーフォール」という概念と深く関連しています。物理的な自由落下に近い感覚を体験できる点が、ドロップ・タワーの大きな特徴と言えます。

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