ドント方式

ドント方式について

ドント方式（どんとほうしき）は、政党名簿比例代表制における議席配分手法の一種で、特に「最高平均方式」の中に位置づけられています。この方法は、ベルギーの数学者ヴィクトル・ドントの名に由来しており、正式な選挙制度として多くの国で採用されています。実際、この方式はトーマス・ジェファーソンが提案した議員定数配分の方法と同様の結果を生むとされています。つまり、ドント方式では有権者数に基づく議席配分が行われます。

採用国

ドント方式はアルゼンチン、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、チリ、コロンビア、チェコ共和国、東ティモール、エクアドル、フィンランド、ハンガリー、アイスランド、イスラエル、日本、北マケドニア、オランダ、パラグアイ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スコットランド、セルビア、スロベニア、スペイン、トルコ、ウェールズといった国々で利用されています。さらに、北アイルランド自治政府の閣僚ポストの配分や、ロンドン市議会の補充議席、また欧州議会選挙における議席分配にも応用されています。オーストラリアの一部地域では、修正型がかつて使用されたことがありますが、その後、別の投票方式へ移行しました。

配分方法

ドント方式による議席配分では、まず各政党の得票数を表形式で整理します。たとえば、政党を1からmまで番号で示し、それぞれの得票数をp1, p2, …, pmとします。議席数をhとして、配分の過程では、各政党の議席獲得状況に応じて以下のように進めます。

1. k議席目の配分の際、政党iがすでに獲得した議席の数をsi(k)とします。
2. 各政党の得票数piをsi(k)+1で割った商の中で最も大きな値を持つ政党が次の議席を獲得します。
3. これを繰り返し、h議席目の配分が完了するまで続けます。

この手法は、個別の議席を一つずつ配分する場合と、得票数を基に一覧表を作成し具体的に議席数を決定する方法でも同様の結果をもたらします。最終的には名簿に基づく議席は、事前に党内で決められた順番によって配分されることが多いです。

例

例えば、5つの政党が存在し、7議席が配分されるという状況を考えます。この場合、各政党に対して、1議席ずつ配分する段階または一覧表方式で、最終的な議席配分は一致することが期待されます。

性質

ドント方式が持つ特性には、計算方法が異なるものの同じ結果を出す他の方法（ジェファーソン方式やハーゲンバッハ＝ビショフ方式など）との関連性があります。また、ドント方式は大政党に有利な配分を行うことがあるため、特定の条件下では過剰な配分を受けやすく、これが批判される要因にもなっています。

このような偏りを防ぐために他の方式が考案されていますが、ドント方式は名簿分割に対する耐性が高く、独特の適用性を見せます。選挙制度において、どの政党が得票数や名簿を分割しても、その政党の獲得議席が増えないことが保障されています。

まとめ

ドント方式は、その回帰性と適用範囲の広さから多くの国で採用され続けており、今後も重要な議席配分手法として扱われていくでしょう。特に比例代表制においては、その特性を活かした議席の公平な分配が、民主的プロセスの重要な要素となっているのです。

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