ドンマー・ウエアハウス

ドンマー・ウエアハウスは、ロンドンの劇場街として知られるコヴェント・ガーデン近郊に位置する由緒ある劇場です。その歴史は古く、1870年代に建てられた建物は、当初は映画スタジオなどとして活用されてきました。その後、1961年に実業家であるDonald Albery氏が倉庫となっていたこの建物を取得。彼は建物を改修し、バレエのリハーサルスタジオとして生まれ変わらせました。これが、現在のドンマー・ウエアハウスの礎となります。

1977年から約4年間は、名門劇団であるロイヤル・シェイクスピア・カンパニーがロンドンでの本拠地としてドンマー・ウエアハウスを使用していました。シェイクスピア作品の上演を通して、この劇場は英国演劇界において重要な役割を果たしました。多くの名優たちがこの舞台に立ち、数々の名作が上演されてきた歴史は、劇場の重厚な雰囲気からも感じ取ることができます。

ドンマー・ウエアハウスを語る上で欠かせない人物が、世界的に有名な映画監督、サム・メンデスです。彼は1990年から2002年まで、この劇場の芸術監督を務めました。メンデスの手腕により、ドンマー・ウエアハウスは革新的で実験的な演劇を積極的に取り入れる劇場として、高い評価を得るようになりました。革新的な演出や、現代的な解釈を取り入れたシェイクスピア作品の上演など、彼の在任中は数々の話題作が誕生しました。

中でも、1998年にサム・メンデスが演出、ハリウッド女優ニコール・キッドマンが主演を務めた舞台「ブルー・ルーム」は、大ヒットを記録しました。この作品は、ドンマー・ウエアハウスを世界的に知らしめるきっかけとなり、その後も多くの観客を魅了する舞台が上演され続けています。洗練された舞台演出と、豪華なキャスト陣が織りなす魅力的な舞台は、世界中から観客を呼び寄せ、演劇ファンにとっての聖地として広く認知されています。

ドンマー・ウエアハウスは、単なる劇場という枠を超え、演劇の歴史と文化を体現する場所と言えるでしょう。その歴史的背景と、数々の名作を生み出してきた実績は、多くの演劇愛好家にとって魅力的な存在であり続けています。長きにわたる歴史の中で培われた伝統と、常に新しい挑戦を続ける姿勢が、この劇場の独特の雰囲気を形作っていると言えるでしょう。劇場を訪れる際には、その歴史と伝統に思いを馳せながら、舞台芸術の素晴らしさを堪能してみてください。

もう一度検索